内容説明
2015年11月、「黒い雨」訴訟が提起された。これは原爆被害を過小評価する国や行政の姿勢を厳しく問うものであり、一審広島地裁(2020年判決)、二審広島高裁(2021年判決)ともに原告の「黒い雨」被爆者が全面勝訴し、確定した。何が争点だったのか、判決内容から読み取るべきことは何か。「被爆者」たる原告に寄り添いながら、訴訟に関わってきた編者・執筆者がそれぞれの専門(社会科学・自然科学)の立場から多面的に考察する。
目次
序論
1 原爆「黒い雨」問題(「黒い雨」問題とは何か―「科学的な線量推計」を中心に;「黒い雨」被爆者のたたかい)
2 「黒い雨」訴訟(「黒い雨」訴訟・審理経過と判決の内容及び意義について;原爆「被爆者」の概念について―放射能影響被爆者(三号被爆者)を中心に)
3 原爆「黒い雨」の科学(「黒い雨」再調査と34年後の真実;低空で水平に広がる円形原子雲―「黒い雨」雨域に放射能が運ばれたメカニズム;「黒い雨」と放射線内部被曝)
終章 被爆者健康手帳交付行政の課題―「黒い雨」訴訟広島高裁判決確定を踏まえて
著者等紹介
田村和之[タムラカズユキ]
広島大学名誉教授。行政法、社会福祉法
竹森雅泰[タケモリマサヒロ]
弁護士(広島弁護士会)。「黒い雨」訴訟弁護団事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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