内容説明
病みつつ駆け抜けた高杉晋作は王政復古の8か月前、27歳の生涯を終える。戊申戦争後、維新力によって長州の諸兵隊が掃討されたことを彼は知らない。
著者等紹介
吉村康[ヨシムラヤスシ]
1939年生まれ。大阪市立大学経済学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつ
2
彼はやはり不自由だったのか。そして、彼は短命だった。この小説は高杉晋作(高い位の武士)と対を為す民・農民にもスポットを当てている所がいままで読んだものと違って新鮮だった。確かに奇兵隊を始めたとする諸隊は身分を問わない組織で武士だけでなく、農民や猟師、力士、被差別部落の人々なども加わり、彼らが倒幕へと進む原動力となった。だがしかし、諸隊の中でも武士と他の身分の人々との間の格差はあったし、彼らの描いていた倒幕後の理想は叶わず、明治三年には奇兵隊にいた者も含む農民たちによる反乱が起きたという事実も書かれていた。2019/01/20
バリバリブーン
0
者のあとがきを読むと、作品自体は40年以上前に書かれたもので、2015年度の大河ドラマに関連して復刊したそうです。 といっても大河ドラマの主人公「文」はほどんど出てきません。 また、全体として背景描写が少ないので、一つ一つの出来事の繋がりがわかり難く、若干ストレスを感じる部分もありました。 読みこなすには、ある程度の予備知識がないと厳しいかもしれません。 とはいえ、終盤の高杉晋作の神憑り的な活躍は、こんなストレスを無視して読者を惹きつける力がありました。2014/08/05