内容説明
「近代化」はこれまで、西欧諸国を中心とするヨーロッパを基準に、市民革命、国民国家、産業革命などの言葉で語られてきた。内と外、自己と他者を明確に分け、「文明と野蛮」「白人と非白人」といった優劣で世界をつないだ彼ら、「昨日のヨーロッパ」の経験は、わたしたちとどうつながっているのだろうか。
目次
第1章 「昨日までの世界」を読み替える
第2章 「国民」を創造する―一枚の絵画から
第3章 「他者」を想像する
第4章 「外」から見る/見られる
第5章 世界を食い散らかす
著者等紹介
井野瀬久美惠[イノセクミエ]
甲南大学文学部教授。専門はイギリス近代史、大英帝国史。京都大学大学院文学研究科(西洋史学専攻)博士課程単位修得退学。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
16
57頁。17、18世紀の欧州は、「絶対主義」「絶対王政」の時代として語られることが多かった。しかしながら、20世紀末以降、この見方は大きく修正されつつある。主権を有する君主が決して「絶対」ではないことが様々わかってきたからである。宗教対立や王位継承を巡る争いが相次いだ欧州近世において、王権は戦費調達のために貴族やギルド、都市や村落の共同体などの中間団体との交渉や調整をたえず余儀なくされた。国王はこうした中間団体に特権を与え、彼らを媒介として支配を行っていたのであり、故にその権力は絶対的なものではなかった。2025/01/11
かんがく
14
「歴史総合」と銘打っているが、そのまま教材化するにはやや研究寄り過ぎるかも。絵画資料が多く使われているので、「どのように描かれたか」という問い作りの参考にはなりそうだと思った。国民形成の過程で、国民ではないとされた人々への視点が重要。2024/03/17