内容説明
安全保障の名による軍事化への道。平和路線だった日本の宇宙開発は安倍政権と日米軍事同盟の下で軍・産・官・学の共同開発に急進展。
目次
序章 憧れだった宇宙開発は今
第1章 宇宙への憧れ(イカロスの夢;気球・飛行船・グライダー ほか)
第2章 世界の宇宙開発の歴史(フォン・ブラウンとコロリョフ;さまざまな人工衛星 ほか)
第3章 日本の宇宙開発の歴史(第一期 一九五四年から一九六九年まで;第二期 一九六九年から二〇〇三年まで ほか)
第4章 軍事化が進む日本の宇宙開発(平和路線からの出発;宇宙開発事業団の発足 ほか)
第5章 急進展する軍産学共同とJAXA(JAXAと防衛省の協力体制;宇宙に関する包括的日米会話 ほか)
終章 宇宙開発は平和のために(国連の活動;軍需産業の問題;最後に)
著者等紹介
池内了[イケウチサトル]
1944年、姫路市生まれ。京都大学理学部卒業、天文学・宇宙物理学、理学博士。北海道大学理学部助教授、東京大学東京天文台助教授、国立天文台理論天文学研究系教授、大阪大学理学部宇宙地球科学科教授、名古屋大学大学院理学研究科教授などを経て、総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。世界平和アピール七人委員会委員、九条科学者の会呼びかけ人。講談社出版文化賞科学出版賞、パピルス賞などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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閑居
16
国際的には宇宙利用は非侵略目的に限定されることが一般的だが、日本では非侵略よりさらに狭い非軍事に限定していた。しかし、宇宙基本法の制定により国会決議を上書き、これを拡張した。著者は、この拡張について独自の視点から批判している。興味深い意見ではある。2019/07/20
coolflat
12
日本の宇宙の軍事利用において大きなきっかけとなった出来事は4つある。1969年の国会における「平和利用決議」、1985年の政府見解「一般化理論」、1989年の米国の圧力によってなされた「日本衛星調達合意」、「武器輸出三原則」だ。これらの延長線上に、決定打となった2008年の宇宙基本法の制定と2012年のJAXA法の改正がある。前者は、宇宙開発を「安全保障のために資する」ためと宣言し、宇宙の平和利用の精神を完全に葬り去った。後者は、「平和目的に限る」という文章を抹消し、堂々と軍事開発をすることを明確にした。2015/10/20
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- 大正期の権力と民衆