内容説明
殺人者たちが町にもどり、再び共に暮らし始める。和解への道はあるのか?ルワンダ・ジェノサイド3部作、ついに完結。2007年フランスメディシス賞受賞作品。
目次
さらなる疑問
ハレルヤの長い列
運命の啓示
カユンバにて
森の偉業
生存者の幸せ
邪悪な隊列の中の小さな女の子
大通りにて
何を話す?
悪魔のような真実
恐ろしい写真を撮れるのは誰
死と死者について
小鳥たちの賑やかなセレナーデ
フェアじゃない
ある魔術
コンソーレの嫌悪
アフリカの暗いイメージ
隠せない傷跡
星空
神は決して離れない
ピオとジョシアーネ
和解政策
古き良き日々
我々は何を持ち帰ったのか
著者等紹介
ハッツフェルド,ジャン[ハッツフェルド,ジャン] [Hatzfeld,Jean]
1949年マダガスカル生まれのフランス人ジャーナリスト。ルワンダ3部作「LIFE LAID BARE」「MACHETE SEASON」「THE ANTELOPES STRATEGY」は8カ国で翻訳され、数々の賞を受賞している
服部欧右[ハットリオウスケ]
非営利団体「ルワンダの学校を支援する会」代表。1954年京都生まれ。ルワンダ西端コンゴナイルスクールセンターへの教育支援やルワンダ理解と人権・平和のための講演会の開催、および翻訳、著作活動等を行う。生物教師として37年間京都の高校に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
24
ルワンダ内戦については昔から勉強したいと思っているので関連書籍には出来るだけ目を通すようにしています。「許すことが大切」「復讐は何も生まない」なんて綺麗事は第三者にしか口に出来ない言葉だよな。ある日突然隣人がナタを振りかざして自分や自分の家族を殺そうとしたという恐怖とそれにより生まれた憎悪を消すことなんて(少なくとも第三者には)絶対に出来ない。この大虐殺が起きてからまだ僅か二十年余り。救済と赦しの道は何処に存在するのか。人間は簡単に他の人間を凄まじい残酷さで殺すことが出来るという現実に改めて絶望する。2017/05/26
たまご
13
多くの人生が1994年で終わったけれど,それを過ぎて生をつなぐ人々がいる.この本を読む限り,傍観者である私たちの望む,加害者と被害者の,両者手を取り懺悔をし許しあうというemotionalな和解は来ないのではと.両者が互いを必要としていても.アフリカ人の性質として妬み,残虐な暴力の爆発,とジェノサイドを捉える記述に,ジェノサイドはアフリカ他国にもあって定期的な必要悪? 格差社会でジェノサイドを生み出す閾値がある?とすっきりしないままでした.意見の変遷も興味深そうで,きちんと通して読んでみたい.2015/06/28
CBF
2
(★★★☆☆) 殺人者たちが町にもどり、再び共に暮らし始める。和解への道はあるのか?ルワンダ・ジェノサイド3部作、ついに完結ー。 ジェノサイドの加害側(フツ)と生存者側(ツチ)、双方へのインタビューを読み比べると、起こったことや赦しに対するお互いの認識の隔たりの大きさ、和解の難しさをひしひしと感じてしまう。ただ、事件後に周囲の反対を押し切って結婚した幼なじみのフツとツチのエピソードには、微かな希望も感じた。 「...彼らは何も忘れてはいないのに、未来に向かって生きやすいように記憶を間引いているんだ。」2021/01/05
Arte
1
後日譚となる3作目。お上に従う国民性のルワンダでは和解策を取る政府の下で表向きは争いは起きていないが、虐殺の生き残りは色々問題を抱えて生活しており、フツ族と和解する気はさらさらない。生き残りの一人が言う、虐殺の原因は結局貪欲さだというのが、さもありなん。相変わらず生き残りのツチ族が一方的に被害を被ったままなのだが、多数派のフツ族がいないと農業をする人がいないのも確かで、この政策もやむを得ないのは分かる。この本は1つの村の状況を取材しているので、地域が違うとたぶん情勢も違うのだろうが、この先どうなるのか。 2015/08/28