内容説明
中間層が縮小するなかで、福祉国家はどこに向かうのか。日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの6カ国について、財政学と政治学の観点から考察する。
目次
福祉国家財政の再編・変容と中間層からの支持調達
福祉国家の発展と中間層の政治的支持調達
日本財政の「失われた30年」?―普遍主義レジームとの懸隔をめぐって
福祉縮減改革がなぜ人気を集めたのか―言説的機会構造の開放と言説の正統化
「中間層の危機」と「国家と他者への不信」をもたらすアメリカ連邦財政
アメリカにおける福祉国家・税をめぐる政治と「中間層」
ニューレイバーの税・社会保障政策と「救済に値しない」貧困層
イギリスにおける家族政策へのシフトと支持調達
ドイツ社会国家の持続可能性を巡る岐路―普遍的現物給付拡大に伴う財政調整と支持調達
ドイツにおける付加価値税改革の政治過程―増税の政治学的分析
フラットな税制が支えるフランス福祉国家の動揺―財政支出削減下で問われるCSGの正当性
フランスの国民連帯と租税化を実現させる政治
スウェーデン財政の構造変化と人々の分断―2000年代の所得データ及び国際世論調査を用いた分析
スウェーデン福祉国家にみる福祉再編と支持調達