内容説明
公的な記録からこぼれ落ちていく、災禍をめぐる経験や感情、思考。それらを社会にとどめ、記憶を継承していくにはどうすればいいのか。
目次
「語られること」と「語られないこと」の間
阪神・淡路大震災の「記憶」を伝える
3がつ11にちをわすれないために―コミュニティ・アーカイブの取り組み
災禍のパブリック・ヒストリーの災禍―東日本大震災・原子力災害伝承館の「語りの制限」事件から考える「共有された権限(shared authority)」
被害と加害のあいだ―対話の可能性と記憶の共創
私記・宮城での歴史資料保全活動二〇年―古文書を通じた地域との交流、そこでの「3・11」から考えたこと
津波で失われた浜の古絵図から紡ぎ出された記憶
災禍と「日常の記録」―宮城県気仙沼市旧小泉村での調査から
被災地で無形民俗文化財にカメラを向ける―岩手県・映画『廻り神楽』の制作から
メディアは「災禍」をどう語ろうとするのか―災害報道のこれまで
災禍の語りを枠づけ、神話化するメディア作用―「放射能汚染地図」と「フクシマ50」の事例から