内容説明
なぜ、自然豊かな山原に基地が作られたのか。それに人びとはどのように抗ってきたのか。森林利用や軍事基地化といった地域の開発・占領史と、国頭村伊部岳闘争、高江ヘリパッド建設反対運動といった反基地運動の生起と展開を、歴史的資料とフィールドワークに基づき丁寧に記述する。
目次
研究対象と方法
第1部 北部東海岸における軍政と開発史(沖縄戦後社会変動と「運動の波」論再考;北部東海岸の軍事基地によるエンクロージャーと地域開発;北部東海岸森林地域の軍事統治と林業の衰退;国頭村伊部岳闘争と日本「復帰」―人々の生と統治の環境主義の相克;北部東海岸の占領の継続と開発)
第2部 高江のヘリパッド建設問題と社会運動(問題の浮上と米軍再編―一九九五~二〇〇七年;組織化する座り込み・裁判闘争・国家の人種主義―二〇〇八~二〇一二年;座り込みとメディア―二〇一四~二〇一六年)
占領と開発の果てに
著者等紹介
森啓輔[モリケイスケ]
専修大学経済学部教員。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(社会学)。日本学術振興会海外特別研究員、琉球大学島嶼地域科学研究所研究員をへて、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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二人娘の父
5
辺野古の地名は、政治や社会に関心がある方にとって、かなりなじみあるものになってきたと思う。しかし本書の舞台である東村高江や国頭村安田など、本島北部の米軍施設については、ほとんど知られていないのではないか。著者は自身のフィールドワークを踏まえて、この地域における米軍と日本政府による統治、およびそれに抗う住民運動をきわめて「アカデミック」に記した労作である。序章において示される「研究対象と方法」によって、本書と向き合う私も襟を正された。「新たな沖縄」を見出すことを希求する方にはぜひとも一読を勧めたい。2023/11/22