内容説明
正義の「核」はあるのだろうか?プラトンからロールズまで、正義論の長い歴史を辿る果てに、「人類共通の価値」という真の問いに迫る。
目次
「相対主義」と「絶対主義」
古代ギリシアの相対主義と絶対主義―ソフィストとソクラテス
古代ギリシアの絶対主義(1)―プラトン
古代ギリシアの絶対主義(2)―アリストテレス
古代ローマとキリスト教世界
絶対的真理としての科学
人間の自然状態と国家の成立(1)―グロティウス、ホッブズ
人間の自然状態と国家の成立(2)―ロック、ルソー
義務論―カント
功利主義―ベンサム、ミル
現代の正義論
相対主義の復権
相対主義への反論
相対主義の擁護と新たな絶対主義
著者等紹介
長友敬一[ナガトモケイイチ]
1960年宮崎県に生まれる。1994年九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、熊本学園大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
17
洋の東西も時代も問わないような、人間という存在が普遍的に持ち得る正義は存在するのだろうかという誰しもが抱いたことのある問い。基本的にそれは社会が創り上げるモノであるのだろうし、その社会の中に生きるぼくたちそれぞれが創り上げなければならないモノであるのだろうから、ぼく自身は絶対的且つ普遍的な正義は存在しないという考えなのだけれど、それを探究し続ける姿勢ってとても意義のあることだと思う。まずは自分の中の正義を盲信しないこと。身を委ねないこと。それは揺らぎ続ける不確かな足場だと自覚して生きていくこと。2020/07/29
はる
3
われわれは善いとか美しいとか正しいとか勇気とか愛といった言葉を日常使いこなしているように思っている。だからそれらの事柄について、知っていると思っているが、正義とは何なのか、勇気とは何なのか、と改めて尋ねられるときちんと答えられない。実は知ってはいなかったのである。知っていると思う限り、世界はそのようなものとして誤った形でわれわれに現れている。われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。ここに道徳の原理がある。2020/11/23
Masako3
2
★★☆ 文学部教授によるギリシア時代からの倫理学の変遷を正義の相対と絶対主義の比較の観点から解説した本.個々の論理が難解.主題とは異なるが、長く哲学と科学は同じ分野であった.私は薬学の学位を持つが・英語表記ではPhD と称するその意味に漸く腹落ちした気がする.とすれば、脳に刻まれた個体と種の保存の本能が正義の基準となると言えるのかもしれない.絶対的なメカニズムだが、状況によってアウトプットは同じにはならない.これは絶対主義か、相対主義か?2020/07/16
Go Extreme
0
哲学・倫理学:終わりなき問いの連続 価相互理解:共通価値を探す努力 ピュシス:自然 ノモス:人工的 反相対主義→絶対主義 道徳:人間の内面≒あり方 事実知:経験 原因知:技術や学問 正義:全ての徳が入る 最高善=エウダイモニア・幸福 経験論:自然の事実をありのままに 合理論:生得的で明証的な原理に基づく デカルト的不安:絶対的に保障された知識あるはず マルクス:正義=平等 自由主義:正義=自由と平等 リバタリアニズム:正義=自由 相対主義:我々は海に浮かぶ孤島 絶対主義:海の底で1つの地面につながる孤島2020/05/31
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