出版社内容情報
狭い意味での技術者のみならず「高度な技術を利用する者」である全ての現代人に向けて書かれた、「技術倫理学」の入門テキスト
はじめに
1 本書の目的
2 本書の特徴
3 技術者倫理を学ぶ意義
4 本書の構成
5 本書の使い方
第1章 なぜ技術者に倫理学が必要なのか?
1 専門職の倫理としての技術者倫理(engineering ethics)
2 技術者にはどのような責任があるのか
3 技術に内在する倫理的課題
4 倫理学を学ぶ目的
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第2章 私たちはなぜ正しいことをしなければならないのか?
――プラトンと正義――
1 「正しさ」についての問い
2 人間が生きるのは何のため?
3 人間は正義など求めていない?
4 「正しさ」の基準
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第3章 人間は何を目指して生きるのか?
――アリストテレスと幸福――
1 皆、何を目指して生きている?
2 善い人とは、どのような人だろうか?
3 ちょうどよいのは真ん中
4 人間は幸福を目指すのか? 正義を目指すのか?
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第4章 人間は幸福になるため、正しい行為をするわけではない?
――カントと道徳法則――
1 幸福を目指すことは正しくない?
2 義務論
3 道徳法則の形式――定言命法
4 道徳法則の内容――格律の普遍化
5 道徳法則の内容――人格の尊重
6 適法性と道徳性
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第5章 正しさは幸福の量で決められる?
――ベンサムと功利主義――
1 近代人と功利主義
2 功利主義における「平等な配慮」という特徴
3 社会政策における功利主義の可能性と限界
4 工学的判断と功利主義――フォード社「ピント」事件
5 そもそも、幸福とは何だろうか?
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第6章 幸福と自由は両立するか?
――ミルと自由主義――
1 「自由」と「幸福」の関係
2 消極的自由と積極的自由
3 自由と安全の関係
4 現代人と自由――技術の「非決定性」と「他者性」
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第7章 自由と平等は両立するか?
――ロールズと正義論,ノージックと自由至上主義,マッキンタイアと共同体主義――
1 「自由」と「平等」の関係
2 功利主義と平等な顧慮
3 人間は何を持っているか
4 正義にかなった社会
5 所有物に関する権原の問題
6 正当な社会とは?
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第8章 ビジネスは誰のためか?
――技術とビジネス,グローバルな正義――
1 企業の目的は何か?
2 技術と市場
3 技術開発と外部環境
4 市場への信頼
5 アマルティア・センの経済学
6 国境を超える技術――「法人税のパラドクス」の終焉
7 グローバルな正義
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第9章 技術が社会を変えるのか? 社会が技術を変えるのか?
――技術と政治、技術と社会的多様性――
1 人工物による私たちへの生活への影響
2 技術が社会を変えるのか? 社会が技術を変えるのか?
3 障がいと公共空間
4 ユニバーサルデザインの可能性
5 人工物と政治社会
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第10章 戦争は技術を進化させるのか?
――技術と軍事開発――
1 デュアルユースの事例
2 戦争と技術開発――2度の世界大戦と科学者たち
3 核物理学とマンハッタン計画
4 技術者は人工物に対してどこまで責任を持つか?
5 技術は「中立」のものだろうか?
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第11章 人工知能は人間の将来を変えるか?
――AI技術と人間の社会――
1 人工知能の出現とその展開
2 ディープラーニング
3 人間の特質とは何か?
4 AIが社会を変える?
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第12章 水俣病の悲劇から何を学ぶか?
――技術者の責任と公害――
1 「公害」とは
2 水俣病の発生の経緯
3 水俣病の原因究明の経緯
4 水俣病に関する訴訟と法整備
5 予防原則の重要性
6 予防原則の先へ
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第13章 私たちは誰に配慮しなければならないのだろうか?
――生態系と人間――
1 くまモンは九州にはいない!?
2 人間の技術は自然環境を変える
3 環境倫理学の系譜
4 動物の権利、動物の解放
5 生命中心主義
6 生態系中心主義
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第14章 私たちは将来世代に責任を負うのだろうか?
――技術と世代間倫理――
1 「持続可能性」は誰のため?
2 将来世代への責任――人間はなぜこの先も存在し続けなければならないのか?
3 10万年後の安全?――核廃棄物の問題
4 異なる世界の人々に対するグローバルな責任
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
第15章 生命の始まりと終わりを技術が決める?
――医療と技術――
1 医療と技術
2 生命の終わりに関する医療技術
3 生命の始まりに関する医療技術
4 医療技術の高度化がもたらす問題
5 医療技術と倫理学
まとめ
それでも残る問い?発展学習?
*
あとがき
人名索引
事項索引
【コラム】
アリストテレスと自然学
刑罰の思想
世界の戦争は終わらない:アフガニスタンの悲劇
「ミナマタ」を世界に伝えたユージン・スミス
あなたの足跡のサイズは?:エコロジカル・フットプリント
鬼頭 葉子[キトウ ヨウコ]
著・文・その他
目次
なぜ技術者に倫理学が必要なのか?
私たちはなぜ正しいことをしなければならないのか?―プラトンと正義
人間は何を目指して生きるのか?―アリストテレスと幸福
人間は幸福になるため、正しく行為するわけではない?―カントと道徳法則
正しさは幸福の量で決められる?―ベンサムと功利主義
幸福と自由は両立するか?―ミルと自由主義
自由と平等は、両立するか?―ロールズと正義論、ノージックと自由至上主義、マッキンタイアと共同体主義
ビジネスは誰のためか?―技術とビジネス、グローバルな正義
技術が社会を変えるのか?社会が技術を変えるのか?―技術と政治、技術と社会的多様性
戦争は技術を進化させるのか?―技術と軍事開発
人工知能は人間の将来を変えるか?―AI技術と人間の社会
水俣病の悲劇から何を学ぶか?―技術者の責任と公害
私たちは誰に配慮しなければならないのだろうか?―生態系と人間
私たちは将来世代に責任を負うのだろうか?―技術と世代間倫理
生命の始まりと終わりを技術が決める?―医療と技術
著者等紹介
鬼頭葉子[キトウヨウコ]
2000年東京大学文学部卒業。2007年京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定。2010年博士号取得(文学)(京都大学)。現在、長野工業高等専門学校一般科准教授。京都大学大学院文学研究科応用哲学・倫理学教育研究センター研究員。キリスト教学・宗教哲学・倫理学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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