美と実在―日本的美意識の解明に向けて

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  • サイズ B6判/ページ数 202p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784779510786
  • NDC分類 701.1
  • Cコード C0010

出版社内容情報

美と芸術が人に及ぼす力の観点から,「侘び」「寂び」「幽玄」という古来の美的概念の関係性を解明し,日本的美の特質を捉え直す

 序文





第一部 美と芸術の二つの機能





第一章 美と芸術に対する態度



 一 美と芸術

    ――重なりと隔たり――

  

 二 意味の多重性と態度変更

 

 三 日常生活における三つの根本態度

    ――実用的態度・解明的態度・美的態度――



 四 「心理的距離」の概念とその不十分さ



第二章 美と芸術のエポケー機能



 一 現象学的アプローチ

    ――フッサールとインガルデン――

 

 二 カント『判断力批判』における美的判断の「無関心性」への遡源

 

 三 三つの基本的態度の内部構造と相互関係

    ――親和性と排他性――



 四 美的態度によるエポケーの二区分

    ――芸術的エポケーと美的エポケー――

 

 五 エポケーによる因果からの解放

 

第三章 生活の中のエポケー機能



 一 エポケー機能から見た美と芸術の諸相



 二 根源美と芸術美



 三 用の美

      

第四章 芸術と美の開示機能



 一 芸術と美が与える感銘

 

 二 窓としての機能

  

 三 芸術による実在への接近

 

 四 美による実在への接近

    ――悟性からの超出――





第二部 日本的美意識





 序



第五章 侘びの美意識

    

 一 侘び概念と茶道

 

 二 侘び概念に関する従来の考察と問題点

 

 三 二つの機能から見た侘び概念の特殊性



第六章 寂びの美意識

  

 一 「さび」の本義

 

 二 寂びの美と積時性

 

 三 寂びの美の独自性

    ――二つの機能から見た寂びの美――



第七章 幽玄の美意識



 一 固有の美的概念としての幽玄の意味

 

 二 大西の美的範疇論における幽玄の位置づけ

    ――崇高の派生形態としての幽玄――



 三 美と芸術の二つの機能から見た幽玄美の特質



第八章 美と実在



 一 三つの日本的美の関係

 

 二 美と時と実在







 あとがき



佐藤 透[サトウ トオル]
1961年 新潟県に生まれる。 1996年 東北大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。 現 在 東北大学大学院国際文化研究科教授。哲学専攻。博士(文学)。 著 作 『人生の意味の哲学』(春秋社,2012年),『時間体験の哲学』(行路社,1999年),『生の倫理と世界の論理』〔共著〕(東北大学出版会,2015年),『芸術の始まる時、尽きる時』〔共著〕(東北大学出版会,2007年),『共生のリテラシー――環境の哲学と倫理』〔共著〕(東北大学出版会,2001年),他。

内容説明

「侘び」「寂び」「幽玄」―日本的美の美学的究明へ。洋の東西を超え美と芸術が人に及ぼす力の観点から、日本古来の美的概念の正体とその関係性を解明し、日本的美の特質を捉え直す。

目次

第1部 美と芸術の二つの機能(美と芸術に対する態度;美と芸術のエポケー機能;生活の中のエポケー機能;芸術と美の開示機能)
第2部 日本的美意識(侘びの美意識;寂びの美意識;幽玄の美意識;美と実在)

著者等紹介

佐藤透[サトウトオル]
1961年新潟県に生まれる。1996年東北大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。現在、東北大学大学院国際文化研究科教授。哲学専攻。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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うえ

8
「復本一郎は、藤原俊成や兼好、連歌や茶から芭蕉に至るまでの「さび 」に目を配りつつ、さびの重要な要素として、「さびしさ」を考えてよいと述べる。これは、時を経て本質が表面に現れ出たというよりは、否定的・消極的状態への変化に伴う情趣が「さび」の語義の中心だという主張と理解できるので、大槻(文彦)の分類では「荒」および「宿・老・古」の方に足場を置いて「さび」を捉えようとしている」復本は「神さび」という語の神という語義が平安末期より薄れ、語の意味が著しくさびに接近し、単に古くなることを意味するようになったという2019/09/05

スミレ雲

2
【図書館本】ちょっと難しかった。2018/09/08

ひろ

2
侘び・寂び・幽玄という日本的美についての1冊…だが、そこに至るまでの導入が長くないか?分かりやすいし、決して冗長というわけでもないのだが、本丸の方が短くてアレ?とはなった。あと著者の考察がもっと欲しいかなぁ。2016/12/28

octa08

0
美学の観点から、日本の侘び寂びについてアプローチした本。 第一部で美学のエポケーや開示について説明したあと、第二部で日本の侘び寂び、幽玄をエポケー、開示の観点から迫っている。なるべく正確に記載しようという著者の意気込みが、引用論文、本のレファレンスに認められるが、なかなかにとっつきづらい感じがある。 美しさとはなにか、なぜヒトだけが美しさを感じるか、という問いに対しての手がかりにはなりそうだった。2019/04/16

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