内容説明
想い渦巻く「性」の議論を、透徹した知で解きほぐす。よりアクチュアルに、より哲学的に、なにより身近なテーマを問う。シリーズ第2巻。
目次
1 多様な性(固有の身体・多様な性を生きる―文化人類学の視点から;身体・自己・性をめぐる池袋真との対話)
2 科学から見る性(私たちの身体と性とエンハンスメント―美容整形をめぐって;「脳の性差」と「自然」―「男脳」「女脳」って?)
3 性の自己決定(ピルと私たち―女性の身体と避妊の倫理;恋愛するとどうしてこんなに苦しいのか―性的自己決定の限界)
著者等紹介
藤田尚志[フジタヒサシ]
1973年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(後期)単位取得満期退学。フランス・リール第三大学人間社会科学研究科博士課程修了。Ph.D.(リール第三大学)。フランス近現代思想専攻。九州産業大学准教授
宮野真生子[ミヤノマキコ]
1977年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程(後期)単位取得満期退学。日本哲学史専攻。福岡大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケー
10
セクシャリティについて、哲学、文化人類学、倫理学などいくつものアプローチを用いて考察した本。個人的に興味深かったのは学生たちと当事者の対話、整形に関する倫理的考察。ピルに関する日本の受容史。2020/11/08
sk
5
性や恋愛をめぐる論文集。さまざまな切り口で面白かった。2019/07/09
SK
2
17*のLGBT、美容整形、脳の性差、ピル、恋愛の自己決定など。ピルの歴史に興味を持った。2017/01/15
劣リーマン(備忘録)
1
近代思想が生理的として自明視し、現代思想が初めて社会関係による規定という視座から捉え直そうとした「性」についての、最新の論考集。歴史学(通時的)・文化人類学(共時的)という人文科学だけではなく自然科学の知見も取り入れる学際性や、LGBT当事者と学生との座談を取り入れた社会性など内容は多岐、★★★★。 2016/10/11
instead
1
第一章は性の多様性を文化人類学によって示してたいへん教育的。エンハンスメントとしての整形を扱う第三章と脳の性差をめぐる言説を検討する第四章には気づかせられる点が多い。白眉は第五章「ピルと私たち」で、ウーマンリブによるピルの否定を検討し説得的に退ける。第六章を除けば学部生にも読みやすい。2016/07/05