内容説明
哲学が好きでわるいか!第一線の哲学者はもちろん、ミュージシャン、精神科医、漫画家、駆け出しの哲学徒まで、各々の「哲学する楽しみ」を中心に聞くインタビュー集。
目次
1 哲学者の「迎合しない優しさ」(永井均―なぜ子ども時代の問いを持ち続けられたのか;木村敏―「あいだ」と“私”をつなぐもの;風間コレヒコ―音楽と哲学で生きる方向を見定める)
2 哲学徒として生きる(前邑恭之介―漫画「CURE・生きる」の哲学;中川雅道―ウィトゲンシュタインと臨床哲学;俵邦昭―十五歳で止まった時間、ひきこもりの哲学)
3 東日本大震災後に生まれた言葉(鬼頭秀一―環境倫理学における自然;村上祐子―異なる価値観を受容するための論理性)
著者等紹介
田中さをり[タナカサオリ]
高校生からの哲学雑誌『哲楽』編集人。千葉大学大学院にて哲学、倫理学、情報科学を学び、修士(文学)、博士(学術)を取得。専門は情報科学と学術広報。現在、都内の大学で広報職員を務めながら、哲学者へのインタビューを続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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tatsuya
13
永井少年は、両親から「消極的」「引っ込み思案」と称され課題を与えられた。それは通りを行く知らない人に声をかけて道を尋ねるというもの。「劣等感の過剰克服っていうのがあるじゃないですか。何か劣等なことを訓練すると逆にそれが得意になっちゃうことがあって、そういう風な意味で妙に、大人しかったにもかかわらず、そのことをやっているうちに、むしろ、知らない人にも平気で話しかけるような人になっちゃう。僕はね、性格的にはそういうところがあって、どっちが自分の本当の性格だかわかんない時があるんですね。」同じことたまに思う。 2018/01/07
袖崎いたる
10
進路に迷う高校生向けの本。インタビュアーがそこの出だからか千葉大学関連が目立つ。とりわけ永井均さんよいしょな感じ。なのでこの本から汲める主な哲学成分は<私>という直示概念に関連な観がある。それを意識して読むと、<私>という実在を感じることは他我との<あいだ>を意味するが、<あいだ>とは自他間にあるのではなく<私>そのものの性質として記述できるもので、他我が他である限り、その他性とは言語的包摂が困難なものとしてのノイズとなる…なんて考えができたりする。つまり世界の限界はあくまで<ここ>なんだよってことか。2016/08/23