内容説明
復帰前、「祖国」へのあこがれと希望を胸に、本土へ渡った膨大な数の沖縄の若者たち。しかしそれは壮大な「沖縄への帰還」の旅でもあった―。
目次
序章 オキナワから来た少年
第1章 戦後沖縄の経済成長と労働力流出
第2章 本土就職者たちの生活史
第3章 ノスタルジックな語り
第4章 本土就職とはなにか
結論 同化と他者化
著者等紹介
岸政彦[キシマサヒコ]
龍谷大学社会学部准教授。1967年生まれ。関西大学社会学部卒業、大阪市立大学大学院文学研究科単位取得退学。博士(文学)。2006年より龍谷大学社会学部教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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二人娘の父
6
自分が生きている社会、あるいはその社会をつくった歴史を捉えたい。私が社会学に興味を引かれるのは、その点に尽きる。著者はその際の方法論の1つとして「質的調査」を選択する。その方法提示の実例としての沖縄である。この調査を通じて私たちが到達するのは、沖縄の「日本化=同化」は必要なのかという点にある。それは沖縄側からも、また大和側からも問われるべき視点である。他の調査や著書と併せて、私はこの問いに向き合い続けたい。2021/05/22
よきし
5
非常にいろいろ考えさせられた一冊。マイノリティであるということを日々つきつけられ続けることによって、両想いの高い同化圧力の中でも、他者化が進行していくという考え方自体にはっとさせられ、得ることの多い一冊でした。2015/02/13
toiwata
4
小説のような文体で書かれた戦後。そして戦後は終わらない。2018/03/17
おっきぃ
1
我々が沖縄に特別なものを感じて、日本だけど日本じゃないイメージを持つ理由の一つに、戦後の本土就職のやり方があったのだろうか。もっと違う仕方でお互いに融合することができるなら、沖縄的なものが日本的なものに溶けてその一部になることもあったのか。他所の国の侵略の歴史と比較してみたい気がする。 生活史の語りは面白くて事情は人の数だけあると知らされる一方、同じような語りもある。それが何に由来するのか、膨大なデータと資料と先行研究を駆使しながら理論を構築するという岸先生の仕事の仕方を知ることができた。2021/08/14
おさや
1
卒業設計のため