内容説明
暴力や支配の温床にもなる親密圏、その「共依存関係」からの自立を問う、新倫理学・新女性学へ。
目次
第1章 弱いパターナリズムとしての「ケア倫理」へ―触発する現場/臨床知を通して
第2章 女性と家族の近未来論
第3章 現代家族の深層へ
第4章 「家族問題」から「ファミリー・トラブル」の間―暴力性を帯びてしまった家族の暗部へ
第5章 家族と親密圏の間―依存をめぐる倫理
第6章 親密圏とフェミニズム―「女の経験」の最深部に
第7章 新たな親密圏を女性の身体の居場所
第8章 親密圏と個的領域―自己へのケア
第9章 いのちへの視座―女/母からの倫理
著者等紹介
金井淑子[カナイヨシコ]
東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了。立正大学文学部哲学科教授。哲学・倫理学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
55
「フェミニンの哲学」と「社会倫理学」を研究領域とする著者が、共依存関係を断ち、自尊感情を取り戻すことができる空間を回復するため、人間存在の脆弱性に根ざす倫理を探究。巻末に参考文献。<ケア倫理においても依存をめぐる倫理においても取り落とせない「問い」は、その関係性には力の非対称性(支配被支配関係)の問題が存在するということについてである。依存をめぐる事柄の多くが私的領域の密室化した空間に“私化”された営みであることによって、愛情規範集団とされるこの親密性の場面は、暴力や支配の温床になることが避けがたい>。⇒2023/02/24
H.Y.
1
ざっと読んだだけの門外漢がどこまで理解しているか疑問ですが、私は、本書は新たな女性像を模索する視点を原点として「依存と自立」をどう考えるかという思索を多種多様な研究成果を参考にしつつ行ったもの、だと捉えました。著者の思索を書き連ねたものであり、著者自身の論は未だはっきりした形を持ちませんが、その方向性だけは提示されています。本書のような内容を考えたい、という方の脳を刺激する本だと思います。2012/09/05
КИТАРУ МУРАКАМУ
1
金井先生の授業はたまに出ていましたが、まぁ、フェミニズムきっての理論家ですので、ただ黙って聴いている分は退屈でしたが、この方は隠喩という表現形式に人一倍気を払っている方だなぁ、今、そう思い返しています。2011/07/25
バーニング
1
丁寧に見るとかなり細かく、しかも哲学、倫理学、フェミニズムの横断を繰り返しているので正確に理解できたとは言い難いが、金井が問いに立てている「弱いパターナリズム」や「新しい親密圏」というワードを意識するだけでも金井の立ち位置と視野への参考になるのではないか、と感じた。後半は腐女子やヤノマミの女性という現代に見落とされている女性像をとりあげることも、新しい親密圏への構想や本質主義を恐れないという姿勢を多分に示唆していると考えられる。今の理解はこの辺りだが講義の教科書なのでもう少し丁寧に復習する必要はあるかな。2011/05/24
tu-ta
0
苦労して、苦労してや~っと読み終わった。終章から読めばもう少し苦労しなくてすんだかもしれない。これからメモをまとめよう。2011/03/04
-
- 和書
- 日本型経営システムの功罪