内容説明
現代エジプトの大衆運動に立脚したイスラーム復興運動の実態をフィールドワークし、併せてムスリム同胞団の歴史・組織・思想・活動の全容も初めて徹底解明。
目次
序章 現代エジプトとイスラーム復興
第1章 ムスリム同胞団の誕生と発展
第2章 バンナー思想と大衆動員―「ジハード論」を中心に
第3章 「解体と復活」以降のムスリム同胞団
第4章 エジプト民主化とイスラーム政党
第5章 ムスリム同胞団によるエジプト改革の試み
第6章 ムスリム同胞団と民主化運動―2005年の大統領選挙と人民議会選挙を中心に
終章 現代エジプトを読み解く鍵
著者等紹介
横田貴之[ヨコタタカユキ]
1971年京都府に生まれる。2005年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。中東地域研究・エジプト現代政治専攻。現在、財団法人日本国際問題研究所研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mittsko
6
関心をもって通読した。 ※ 一次史料と現地調査から組み上げた「ムスリム同胞団」研究の一冊。とくに1970年代以降、現在まで、非合法化されつづけている期間についての記述が厚い。05年の博論を改稿して06年刊、筆者によれば、これだけ包括的な通史研究は世界初。同胞団の組織・展開を、大衆社会論と組織動員論から理解しようとする。素人目にはおおむね説得力のあるアプローチだが、正確な判定はエジプト研究者に下してもらうしかない(私的には、「大衆」と「民衆」あるいは「国民」との違いがもひとつ際立てられていないように読めた)2021/03/30
ドウ
1
20世紀初頭から2005年の議会選挙までのエジプトのムスリム同胞団の歴史についての本。体制はムスリム同胞団を非合法状態に置き時折その政治活動を弾圧しつつも自らが提供しきれない医療などの社会サービスを同胞団に依存せねばならず、同胞団も合法化を実現する為には既存の活動を維持せねばならない、という両者のジレンマが、主に同胞団側から記述されていてとても面白かった。2015/03/31
Kenji Suzuya
0
エジプトのムスリム同胞団について、20世紀前半の結成から2005年議会選挙での躍進までを通史的に描く。バンナーの「ジハード論」といった思想面の検討のほか、資源動員論の観点から政権との競合構造のみならず同胞団内部での世代間対立といった組織構造についても分析する。2015/02/10