内容説明
交渉、戦略、抵抗、葛藤、快楽、ファンタズム、連帯、分断…メディア文化のなかで揺れ動く、“ガールズ”の軌道を豊かに読み解く。
目次
1 表象と解釈(どんな女の子でもどこにだって行ける:ハリウッド映画における女性表象;広告の“もうひとつ”の光景:多様化する女性表象とオーディエンス;ジェンダーの視点からポピュラー音楽を読み解く;メイドカフェ店員のSNSブランディング:アイデンティティの維持管理という時間外労働;女子高生ブームと理解による支配:援助交際をする“美少女”)
2 交渉と実践(メディアをまとい闘うBガール;ファッションとInstagram;ジェンダー・トラブル・イン・アートワールド:日本アート界におけるジェンダーをめぐる問題;ジンというメディア=運動とフェミニズムの実践:作るだけではないその多様な可能性;「フェミニズム」と交渉する新しい運動;女の子による、女の子のためのメディア研究に向けて)
著者等紹介
田中東子[タナカトウコ]
1972年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科単位取得退学。博士(政治学)。大妻女子大学文学部教授。専門分野はメディア文化論、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズ。第三波フェミニズムやポピュラー・フェミニズムの観点から、メディア文化における女性たちの実践について調査と研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
22
メディアとジェンダーをテーマにした研究書。TVCMや映画作品、さらにはジンカルチャーまで幅広いメディアを対象としている。TVCMの分析では、旧態依然とした性役割観が反映され、問題視された育児関連商品のCMなどを紹介しつつ、近年では食事を作る夫をモデルにしたCMも登場し、家事=女性というステレオタイプを払拭しようとする変化もあるという。近年で最も大きな変化は女性によるソーシャルメディアの利用だろう。#Me Tooが代表例となるが、ソーシャルメディアは女性のエンパワーに役立ってきた。勉強になった。2022/09/29
💓
7
メイドカフェと女子高生表象の章を特に面白いと感じた。メイドが家でSNSを更新するのは時間外の情動労働で個の魅力がお金になるネオリベ的価値観が根にある。女子高生が援交をすることをポジティブに意味づけする男性学者の存在が今の性産業への垣根の低さや性産業に従事するがむしろ強さの表象のようになっていることに繋がっているのかなと思った。2022/03/21
元気!
3
ポストフェミニズムの枠組みで現代の様々なメディアにおける女性の立ち位置を確認している。概説的な本としてはわかりやすくはあったが、論考などは比較的軽め。2021/09/28
よっちん
0
研究室2022/06/22