内容説明
物質と意識の断絶と、一方から他方が生じるという考えそのものを刷新し、意識の物質的な根拠という構図を再考した上で、存在一般の始原や根拠への問いを新たな角度から吟味する。著者長年の思索を呈示する試み。
目次
第1部 心の根拠に向かって(「生命」はどこにあるのか;創発と生命概念;心はなぜ形而上学の問題となるか―ベルクソンの議論を踏まえて;経験の根拠はどこにあるか―脳科学の知見を踏まえて;概念枠としての物質と心―物質の決定性と自由意志をめぐって;物心をめぐる諸概念の極限―思考不可能な場所から照射された「私」「知識」「形而上学」)
第2部 形而上学の問いはなぜ生じるか(プラグマティズムと形而上学―W.ジェイムズとフェルディナンド・C.S.シラーを中心に;なぜ汎心論が帰結するのか―ジェイムズおよび西田の純粋経験への新視角;私の消滅による自由;無の成立条件―そして無が無意味化する次元;問いの消滅)
第3部 根拠と場所―形而上学をめぐる西田哲学との対話(形而上学の問いと西田場所論;場所論から見たニヒリズムの問題;創発主義的生命論と場所論的生命論;規則が立ち現れる場所―ウィトゲンシュタインと西田における根拠なき根源についての考察;矛盾と偶然―始原と秩序についての考察)
終章 存在の驚きとその消滅
著者等紹介
冲永宜司[オキナガタカシ]
1969年東京都生まれ。1998年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専攻、哲学、宗教哲学。現在、帝京大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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