出版社内容情報
時は江戸幕末期、佐賀藩の支藩である鹿島藩に、八澤棣之進(やざわていのしん)という名士がいた。藩医の家柄に生まれ、儒学と医学に励み、知性においても人柄やリーダーシップの面においても大変秀逸な人材として目され、鹿島藩の担い手として将来を期待されていた。しかし、幕末の激動期、棣之進は苦渋の思いで脱藩を決意し、朝廷直属の軍隊である御親兵として戊辰戦争に参加する。当時、脱藩は、藩への反逆行為で重罪とみなされるものだ。名声高い恩師水本成美に将来を嘱望され前途洋々、充実した人生が送れるはずだった隷之進は、なぜ、このような反逆の行動を選択したのだろうか。
埋もれていた古文書などを掘り起こすことで見つかった新たな史料により、八澤棣之進の生涯の姿に迫る。
本書は、葛藤を抱えながらも新しい時代を切り開こうとした棣之進と、その父・仲安との生き様と思想を伝える感動の評伝であり、もうひとつの幕末史である!
【目次】
はじめに
第一章 鹿島における棣之進顕彰の流れ
第二章 八澤家の歴史
第三章 棣之進の誕生と成長
第四章 江戸遊学と棣之進への改名
第五章 水本成美との出会い
第六章 鹿島藩脱藩
第七章 戊辰戦争への従軍と死おわりに

              

