出版社内容情報
トランプを支持する人びとの世界へのアプローチ!
現在のトランプの支持者たちのあいだには「福音派」と「スコッツ・アイリッシュ」という二つのグループが存在する。
リベラルなアメリカは、前者を「狂信的な原理主義者」の亜種として、後者を「人種差別主義的なレッドネック」としてくくってきた。だが、両者の歴史はより複雑で多面性を有している。
福音派はその定義さえ定かでなく、歴史をさかのぼればリベラルとの共通点までもがみえてくる。スコッツ・アイリッシュの歴史は、スコットランドとイングランドの国境地帯にはじまり、北アイルランドを経て、アメリカのアパラチア山脈へとつながる。よそ者に上から目線で指示されることを嫌う荒くれ者たち。全米の白人労働者階級の中心。『ヒルビリー・エレジー』のJ・D・ヴァンスの出自――。
本書は、リベラルなアメリカの「シャドウ」と化している福音派とスコッツ・アイリッシュの歴史を掘り起こし、彼らの世界の実像に迫るものである。
【目次】
はじめに
第Ⅰ部 「福音派」と「福音主義者」
――保守派とリベラルの隠された関係
第1章「福音派」と「原理主義者」と「宗教右派」の違い
――「福音派」という幻想?
第2章福音派の終末論が示す意外なアメリカ像
――この世が終わるとき神に滅ぼされる国としてのアメリカ
第3章福音派になり切れない南部バプテスト
――ファンダメンタリスト=リベラル
第4章スコープス裁判の意外な側面
――メディアによってつくられたイメージ
第5章19世紀福音主義の過激な社会(世界)改革者たち
――反メーソン、絶対禁酒、反奴隷制、グラハムのクラッカー、
パーフェクトな男女関係
第6章不特定多数の人々の心をつかむ方法
――リバイバル集会と政党大会とロックコンサートと
スティーブ・ジョブズの関係
第7章現在の福音派とリベラルの共通のルーツ
――宗教は形よりも中身が大事、世界をミレニアムにするために
第Ⅱ部 スコッツ・アイリッシュ
――よそ者の支配に対する反抗の文化
第8章スコットランド人の反権威主義的伝統
――ウィリアム・ウォレスとジョン・ノックス
第9章アルスターの問題児
――ノンコンフォーミストの誕生
第10章 「地球のクズ」、「人類のゴミ」と呼ばれて
――エスタブリッシュメントへの反発
第11章 パクストン・ボーイズとフェアプレイとウィスキーの反乱
――ホーダーランド人の反政府主義
第12章 アンドリュー・ジャクソン――ボーダーランズの首長
第13章 奴隷を持たない彼らが奴隷主と同じ側で戦った理由
――よそ者の支配に対する抵抗
第14章 スコッツ・アイリッシュの知られざる世界
――これまでの考察への補足
おわりに
あとがき
索引



