出版社内容情報
都々逸の「言葉遊び」は本当に面白い。
字組、破れ句、織り込みなど、知れば知るほど「あ~そうだったのか」と種明かしを見るような楽しさがある。
本書をとおして都々逸の楽しさを多くの人に伝えたい!
1990年代のアメリカ、長唄三味線の師匠と弟子の関係だった中村喜春さんと著者・越氏が、そもそも出会ったきっかけが都都逸でした。当時、愛好会がつくられたとき、「落語愛好会ではなくて『ニューヨーク落語熱愛会』という名前にすべきだ」などと言ったのが縁で、新年会では都都逸を日本語と英語でご披露することになり、それを見ていた喜春さんは「若いのにこんなに江戸文化を愛している人がいるのを見てすっかり嬉しくなった」とおっしゃって、著者に本気で三味線を仕込もうと決心したそうです。お二人は古今亭志ん朝師と金原亭伯楽師が大好きで、両師匠には、今回の本づくりにもご協力いただいていたのですが、喜春さんにも両師匠にも、完成された本をお見せすることも出来ず、お亡くなりになってしまわれました。喜春さんは、江戸文化に深い思いを抱いていました。喜春さんはこう言っています。「日本文化と言うと、すぐに茶の湯だと言ってみたりするけど、茶の湯ばかりが日本文化ではありません。茶の湯も素晴らしいものでしょうが、日本文化として、茶道しか知らないのでは、勉強不足だ」と。江戸時代の粋な庶民文化にこそ、今日の日本人の感性に通じているものがあるのではないでしょうか。江戸文化はすごいと思います。喜春さんは、長唄三味線で芸者の試験を受けましたが、花街では、本当にたくさんの都都逸があって、いくつ覚えたか分からないともおっしゃっていました。都々逸の「言葉遊び」は本当に面白く、素晴らしい楽しさを味わえます。この本で、是非とも、それらをお伝えしたいと思っています。
【目次】