出版社内容情報
長年取り組んできたジオノ作品への感謝の気持をあらわしながら、ジオノ作品の豊かで独創的な世界へ読者の方々をお誘いしようと試みた「ジオノに挨拶するために」(彩流社、2025.02)に続くジャン・ジオノ作品論Ⅱ。
優しく慰撫してくれることもあり、また時には厳しく歯向かってくることもある大自然のなかで行動する人間たちにとって、友情や恋愛や芸術(音楽や文学)は、人間として生きていくための揺るぎない根拠となり、生きていくに際して潤いをもたらしてくれるものである。本書でとりあげる、ジオノ独特のニュアンスを有している五つの物語において、大自然のなかで活動していく登場人物たちは、それぞれに独自の個性的な解決を提示させていくことになるであろう。また、それら五作品を丹念に見てゆくことで、彼が生涯を過ごしたオート= プロヴァンスの大地と物語の独創性が密接に関わっていることを示していくことになるであろう。
内容説明
南仏オート=プロヴァンスのかぐわしい大地で繰り広げられる恋や友情の物語。孤立した集落で農民たちの妄想が膨れ上がり、羊飼いたちの宇宙的規模の演劇祭が催される。ロンドン西方へ空想のメルヴィルが疾走する。
目次
第一章 友情の記念碑(『ボミューニュの男』)
第二章 精彩溢れる自然と膨張する妄想(『丘』)
第三章 羊と羊飼いの世界(『蛇座』)
第四章 空想のメルヴィルが躍動する(『メルヴィルに挨拶するために』)
第五章 光と闇が交錯する物語(ジャン・ジオノ『世界の歌』試論)
著者等紹介
山本省[ヤマモトサトル]
1946年兵庫県生まれ。1969年京都大学文学部卒業。1977年同大学院博士課程中退。フランス文学専攻。信州大学教養部、農学部、全学教育機構を経て、信州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。