出版社内容情報
「戦争」に向かっている国家に歯止めをかけることができるのは農民しかいないと
ジオノは考えた。
ジオノは暮らしていたマノスクという町の周辺で暮らしている農民のことをよく知っていた。
自分で判断して行動するようにと何度も念入りにジオノは注意している。 あるラーメン屋が美味しいとマスコミが騒げば、たちまち自称「食通」たちが押しかけ長蛇の列を作る。高級と言われているブランド品をみんなが競ってあさる。大型娯楽商業施設に無数の人々が参集する。軽井沢や嵐山近辺が見どころだと観光業界が宣伝すると、すぐそれに乗せられる人々が後を絶たない。
政府の高官が、さあ今こそ反撃を開始しようとタイミングよく声をかければ、まるで羊の群れのように人々は「さあ、戦争だ!」と叫ぶかもしれない。私たちは自分が旨いと思うものを食べ、自分の楽しみは自力で発見したいものだ。桜が美しいのは桜の名所だけではない。道端に枝ぶりのいい桜が咲いていたりするのである。ジオノが指摘しているように、「戦争」に反対することは大変な勇気を必要とする。
政府やマスコミに簡単に操られることだけは何としても避けたい。どうしたらいいのか、
ジオノの著作は貴重なヒントを与えてくれるはずである。
内容説明
羊は羊しか生まないように、バラはバラしか生まないように、戦争は戦争しか生まない。戦争が平和や自由や平等を生み出すと考えるのは、古来繰り返されてきた世界的な妄想である。フランスで多数を占める農民たちに、ジオノは節度ある生活の必要性を説く。自分の丈に合った生活こそ平和を生みだす原動力になる。金銭に翻弄されはじめると、政府の思うつぼにはまり、農民たちは戦争への道を歩みはじめる。
目次
貧困と平和についての農民への手紙
『清流』より四篇の抜粋
正確な事実
著者等紹介
ジオノ,ジャン[ジオノ,ジャン] [Giono,Jean]
1895年‐1970年。フランスの小説家。プロヴァンス地方マノスク生まれ。16歳で銀行員として働き始める。1914年、第一次世界大戦に出征。1929年、「牧神三部作」の第一作『丘』がアンドレ・ジッドに絶賛される。作家活動に専念し、『世界の歌』や『喜びは永遠に残る』などの傑作を発表する。第二次大戦では反戦活動を行う。1939年と1944年に投獄される。戦後の傑作として『気晴らしのない王様』、『屋根の上の軽騎兵』などがある。1953年に発表された『木を植えた男』は、ジオノ没後、20数か国語に翻訳された。世界的ベストセラーである
山本省[ヤマモトサトル]
1946年兵庫県生まれ。1969年京都大学文学部卒業。1977年同大学院博士課程中退。フランス文学専攻。信州大学教養部、農学部、全学教育機構を経て、信州大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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