出版社内容情報
澁澤の「書く=読む」という行為には、「(仏語の)純粋言語を日本語に
よって救い出す」(ベンヤミン「翻訳者の使命」)という運動が働いている。
そのとき、澁澤という「私(わたくし)」性はどこにあるのだろうか。
澁澤の「書く=読む」という行為は「純粋言語」を救出するとともに、
澁澤という「私」性が消滅するのではないかというのが、
筆者が考える澁澤におけるエクリチュール化した「私」の意味である。
このエクリチュール化した「私」は、消滅するとともに
翻訳行為と同様、他者の「純粋言語」にまとわりつく「純粋思考」をも
かぎりなくとりこんでいく。
そして最後には、澁澤の博覧強記の「書く=読む」という行為は、
澁澤の「私」性が消滅して、エクリチュールに他者、評者(筆者)まで
をもまきこんでいく。
究極的にそこに浮上する澁澤の「思考」とはなにか……それを逐語訳的に
翻訳・抽出していくのが本書の眼目なのである。
【目次】
(第1章)サドの自然
(第2章)『夢の宇宙誌』玩具・天使・アンドロギュノス・世界の終り
(第3章)『エロスの解剖』
(第4章)『胡桃の中の世界』
内容説明
澁澤という「私」性はいったい何処にあるのか?澁澤の読む=書くという行為には「(フランス語の)純粋言語を日本語によって救い出す」という運動が働いている。厖大な書物を読む=書くということは、結局、フランス語の書物を読み、日本語として言葉=エクリチュールとして書くことなのであった。すべての澁澤へのオマージュは、波動するエクリチュールの彼方へと向かう。
目次
第1章 サドの自然(『神聖受胎』;『サド復活』)
第2章 玩具・天使・アンドロギュヌス・世界の終り(『夢の宇宙誌』;「玩具につい」 ほか)
第3章 エロスの解剖(「女神の帯について」;「性とは何か」 ほか)
第4章 胡桃の中の世界(「石の夢」;「プラトン立体」 ほか)
第5章 思考の紋章学(「ランプの廻転」;「夢について」 ほか)
著者等紹介
谷〓龍彦[タニザキタツヒコ]
1955年、三重県生まれ。皇學館大学卒業。澁澤龍彦に私淑して文芸評論を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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