出版社内容情報
日本の進路を誤らせた実態のない同盟の虚構を暴く!
全くの無駄で、効果をも持ちえなかった軍事・経済相互援助同盟は、
日独それぞれが、短絡的な都合のもとに勝手な解釈を繰り返しただけで、
実質を伴わないまま成立したものだった。
日本側の状況を見るなら、その同盟の成立にあたって、陸軍や一部外交官
が独走し、それに同調する軍人・官僚・政治家を自らの無責任体制が支え維持し、
意思疎通不足、情報不足と情報解釈の誤りが、事態を更に硬直化させること
となった。
当時の政治指導者達は、客観的な情勢判断の欠如から、決定的に判断を誤り、
人民を戦争に導いただけなのであった。
本書は、これまで、日本の史料に基づくものが多かった三国同盟に関する研究
とは一線を画し、ドイツにて公開された最新の資料までをも取り込んで追及し、
この同盟が、まったくの「幻の」同盟であった実態を明らかにし、
現代の情報化時代における外交問題に示唆を与えようと試みるものである。
本書の目的と構成
プロローグ
(「演出された日々」 /日ソ関係/松岡の場合──ドイツへの傾斜
/僥倖頼りの発想/過去と現在 ほか)
第一章 ナチスドイツの登場(日独防共協定への途/戦勝国と敗戦国
/巧妙な再軍備化/赤軍との共同演習/リッベントロップ)
第二章 日独の接近と日独防共協定(大島 ─ リッベントロップの秘密交渉
/大島独断専行の容認 /人事配置/協定初発の事情)
第三章 親英米派と親独派(ドイツ重視の伝統 /
リットン調査団のドイツ人/親独派の典型・大島浩/親英米派の抵抗 ほか)
第四章 ナチスドイツの対日工作(オイゲン・オット/秩父宮訪独
/電報に見える日独関係 /ヒトラー参り/満州国承認 ほか)
第五章 防共協定の強化(ドイツの用意周到/張鼓峰事件
/山本五十六の反対論 /錯綜する論議 /五相会議での決定 ほか)
第六章 日独関係の背景──日本側の事情(軍事技術の導入
/統制経済への傾斜/中国大陸での経済関係/日独文化交流の進展)
第七章 反ソから軍事経済同盟へ(日本外交の弱み/リッベントロップの電報
/日本の曖昧、ドイツの一枚岩/追い込まれ行く日本)
第八章 独ソ関係の実像と日本の対応(経済協力の進展
/スターリンの老獪さ/独伊の切り札、汪兆銘承認問題 /親独政権への展望
内容説明
日独それぞれが短絡的な都合のもとに勝手な解釈を繰り返し、実質を伴わないまま成立した軍事・経済相互援助同盟はまったく無駄で、効果がなかった。ヒトラーの意を受けたリッベントロップに誘導された日本の指導者。その同盟を成立させたのは陸軍や一部外交官の独走、それに同調する軍人・官僚・政治家の無責任体制、意思疎通の不足、情報不足と情報の誤り、客観的な情勢判断の欠如から決定的な判断を誤り、戦争に導いたのは政治指導者たちなのだ。これまでの三国同盟に関する研究は、日本の史料に基づくものが多かったが、本書はドイツの公開された最新の資料を取り込んで、まったくの「幻の同盟」であった実態を明らかにするとともに、現代の情報化時代における外交問題に示唆を与える好著。
目次
第1章 ナチスドイツの登場
第2章 日独の接近と日独防共協定
第3章 親英米派と親独派
第4章 ナチスドイツの対日工作
第5章 防共協定の強化
第6章 日独関係の背景―日本側の事情
第7章 反ソから軍事・経済同盟へ
第8章 独ソ関係の実像と日本の対応
第9章 太平洋戦争への道
第10章 日独連携の真実(幻の軍事・経済同盟)
著者等紹介
手塚和彰[テズカカズアキ]
1941年長野県生まれ。東京大学法学部卒。東京大学助手、千葉大学教授(法経学部、大学院専門法務研究科)、青山学院大学法学部教授などを経て、国際交流基金ドイツケルン文化会館長(2011~13年)を務める。現在、弁護士(尚友法律事務所)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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