出版社内容情報
アジア演劇の歴史と現在。
本書は「アジア」に焦点をあて、それぞれの国や地域によって括られるしかない芸術であってさえも、アートだからこそ国を越える可能性があることを、研究者やそれぞれの国や地域で活動するアーティスト、国際共同制作などのプロジェクトを行う人々、各界の第一線で活躍する人達への取材により追い求めた論集である。それら国家を越えうる「アジアの芸術」を通して、我々自身が持つ価値観・芸術観がいかに「西洋の規範」に則っていたのか、もしくは、いかにすれば、その規範を相対化することができるのかを問い、現代演劇や舞台芸術の最前線で「いま・なに」が行われているのかの認識を深め行こうとする書である。
【内容】
1 「アジアで芸術を思考すること(高橋宏幸)」
2 「アジアで舞台芸術を行うこと/ベトナムとミャンマーを中心に
(宗重博之)」
3 「アジア演劇の歴史と現在(佐藤信)」
4 「アジアツアーと台湾と日本で演劇をつくること(流山児祥)」
5、6「京劇レクチャーとデモンストレーション(張春祥・新潮劇院主宰)」
7 「文化交流を実践する/フィリピンより(鈴木勉)」
8 「演劇でつなぐアチェ(インドネシア)とコーディリエラ(フィリピン)
/リサーチから組み上げる対話のための応用演劇(花崎攝)」
9 「在日という視点と自作について(鄭義信)」
10 「2014年、セウォル号惨事以降の韓国演劇(石川樹里)」
11 「タイの演劇とタイの社会(千徳美穂)」
12 「アジア共同体の理念について(佐藤洋治)」
13 「台湾の演劇と日本の演劇(林于竝・国立台北芸術大学)」
14 多民族国家としてのシンガポールの演劇と文化政策(滝口健)」
15 「祭祀とトランス 南インドとバリ島から、身体行為の原点を考える
(石井達郎)」
16 「中国現代演劇の歩み-文革終結以後を中心に(瀬戸宏)」
内容説明
「アジア」の芸術を通して国を越える可能性を有する「活動」を知り、われわれの価値観・芸術観がいかに「西洋」的な規範にのっとっていたかを剔抉し相対化する。演劇や舞台芸術の最前線では「いま」「なに」が行われているのか、さらなる理解を追究する演劇人・研究者による論考。
目次
「アジア」を流動する舞台芸術―「はじめに」に代えて
アジア、なぜ?
流山児★事務所と台湾二十年の交流
台湾における秦かの子の舞踏の発見
韓国演劇の今―セウォル号惨事以降の演劇
中国の現代演劇 文化大革命以後を中心に
悠久の中国伝統を受け継ぐ「京劇」―その歴史と表現様式
社会の「物語」を紡ぐ場所―シンガポールの現代演劇
タイ演劇『赤鬼』からの二十三年
演劇でつなぐコーディリエラ(フィリピン)とアチェ(インドネシア)―リサーチから組み上げる対話のための応用演劇〔ほか〕
著者等紹介
高橋宏幸[タカハシヒロユキ]
1978年岐阜県生まれ。演劇批評家。桐朋学園芸術短期大学演劇専攻准教授。世田谷パブリックシアター「舞台芸術のクリティック」講師。座・高円寺劇場創造アカデミー講師。『テアトロ』『図書新聞』などで舞台評を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。