内容説明
大震災と原発事故という未曽有の大災害に自衛隊は約10万人を動員し、米軍も最大時1万6000人、艦艇約15隻、航空機140機が参加した。平常の災害出動とは全く異なる、いわば“有事”ともいうべき事態に日米の政府、自衛隊・米軍はいかに対応したかを証言で克明に綴る。
目次
はじめに
第1章 福島第一原子力発電所事故と自衛隊の対応
第2章 日米両政府の共同連携
第3章 自衛隊と米軍の共同連携
第4章 震災以降の取り組み
第5章 教訓と今後の提言
補章 2011年、岐路に立っていた日本
おわりに
著者等紹介
磯部晃一[イソベコウイチ]
1958年生、徳島県出身。防衛大学校(国際関係論専攻)卒。1980年、陸上自衛隊に入隊、ヘリコプターパイロットとして勤務。その後、外務省北米局日米安全保障課、陸上幕僚監部防衛課などで勤務。米海兵隊大学及び米国防大学で修士号取得。東日本大震災時は、防衛省統合幕僚監部(統幕)の防衛計画部長の職にあり、日米両政府・軍の連携調整にあたる。その後、第7師団長、統合幕僚副長、東部方面総監を歴任。退官後、ハーバード大学の上席研究員として在米中に、関係者にインタビューをして『トモダチ作戦の最前線―福島原発事故に見る日米同盟連携の教訓』を纏める。現在、川崎重工業(株)のストラテジック・アドバイザー及びアジア・パシフィック・イニシアティブのシニア・フェローを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Meistersinger
1
福島原発事故における自衛隊・日本政府と米軍の間で行われた協力体制の構築。米側の「日本の誰を窓口とすればいいか?」という疑問が最大のポイントだっただろう。「ホソノ・プロセス」と呼ばれた調整機構(首相・大統領の下に両国が調整役を持ち、現場は直接カウンターパートと情報をやり取りする)が機能したと言える。そしてマレン統参議長と折木統幕議長の間にあった平素からの人間関係が重要だったという事から、危機前の交流の重要さが伺われる。2019/11/15
だいちゃん
0
防衛省・自衛隊のあり方、日本政府の危機対応のあり方、そして日米連携のあり方に関して示唆に富む内容だった。 特に、日米間で多くの、そして死活的なミスコミュニケーションが生じていたことは衝撃であり、同盟のあり方に関して考えさせられることが多かった。 日本は米国のみならず、多くの国と安全保障協力を深化させているが、そうした国々との連携のあり方に関しても、3.11後の日米同様に、今後具体化していくことが必要になるのだろうと思う。(もちろん、関係の深化の具合を見ながらであろうが。)2020/01/03