出版社内容情報
18世紀~19世紀末のアメリカで
〈知的コミュニティ〉がどのように立ち上がり、
「国家形成」に影響を与えたのか、
人々の繋がりからアメリカの知的独立への道をたどる。
独立戦争を経て、民主的な国家建設をめざしていた
18~19世紀のアメリカ。
文学・哲学・科学・博物学等、各分野の知識人たちは、
建国の精神を反映し、改革・発展の使命感と
ヨーロッパからの精神的自立・独立を志向し、
さまざまな〈知のコミュニティ〉を形成した。
近年、「グローバル化」と対置する形で「コミュニティ」の概念が
注目されている。
本書は、18世紀アメリカのアイデンティティ確立に貢献した
人々の繋がりを浮き彫りにし、その「コミュニティ概念」形成を
先駆けた18~19世紀のアメリカを新たに見直す論集である。
内容説明
18世紀~19世紀末のアメリカで“知的コミュニティ”がどのように立ち上がり、「国家形成」に影響を与えたのか。「共和国」「超絶主義とニューイングランド」「女性」「メルヴィル」「南北戦争以降」というテーマから、アメリカのアイデンティティ確立に貢献した人々の“知のネットワーク”を浮き彫りにする。
目次
第1部 共和国と知のコミュニティ(マンハッタンの「魔女狩り」―ニューヨーク奴隷叛乱陰謀事件における情報解釈共同体的誤謬;アメリカ哲学協会とアメリカン・アイデンティティの誕生―金星とマンモスを追いかけて ほか)
第2部 ニューイングランド的コミュニテイ(エマソンの「透明な」自然と環大西洋思想の環流;『マサチューセッツの報告書』とソローの「マサチューセッツの博物誌」 ほか)
第3部 女性と知のコミュニティ(想像の世界文学共同体―マーガレット・フラーの『ゲーテとの対話』翻訳;会話というコミュニティ―“愛”の実現の場としてのマーガレット・フラーの“会話” ほか)
第4部 メルヴィル的コミュニティ(メルヴィルとシェイクスピア、あるいは幻の文学共同体―「ホーソーンと彼の苔」のころ;メルヴィルと「ヤング・アメリカ」 ほか)
第5部 拡がりゆくコミュニティ(重なる断片、生まれるコミュニティ―ルイーザ・メイ・オルコットの模倣とその作品の行方;ローウェル、フィールズ、ハウエルズの編集方針―『アトランティック・マンスリー』誌に見る知的コミュニティの形成 ほか)