出版社内容情報
世界でおきる排外主義に
立ち向かうために必読の研究書!
多様性が増大し続けている社会が、
どうすればうまく統合されかつ平等なものとなり、
その姿を維持できるのか?
本書は「間文化主義」というカナダのケベックで
実践されている新しいモデルの提起とその問題点を
記述している。
白人至上主義や、民族主義者が大きな話題になる中、
排外主義に対抗できうるであろう「間文化主義」を
問い直す本書、遂に翻訳成る!
「間文化主義」とは?
民族的、文化的多様性をより広く認める社会を目指す、
カナダのケベックで支持されている考え方。
今までの多文化主義や共同体主義とは違い、
文化の保護だけでなく言語の保護を認めるなど、
より多様で豊かな社会を目指している。
本来、重要なことは様々な文化が出会い
互いを豊かにすることであるが、
多文化主義などはこの点において不完全で問題がある。
簡単に言えば「間文化主義」の「間」とは
多様性の間の橋渡しということである。
内容説明
世界の国々はますます進む社会の多様化を前にして困惑し、行き詰っている。そんな中で、カナダのケベックという一つの州で、長期間の試行錯誤を経て間文化主義という新しい統合理念が練り上げられ、世界に向けて発信されている。中心文化を認めないカナダの多文化主義とは異なり、中心文化とマイノリティの文化が互いを尊重しながら交流することによって、一つの新しい文化を築きあげていこうという間文化主義。それは日本のように厳然とした中心文化を持つ国にこそふさわしい統合理念である。
目次
第1章 ケベックの間文化主義の条件と基盤(パラメータ;パラダイムとモデル ほか)
第2章 ケベックの間文化主義―定義の試み(ケベック型間文化主義の生成;間文化主義の構成要素 ほか)
第3章 間文化主義と多文化主義(間文化主義と多文化主義を区別するもの;カナダの多文化主義―流動的ハイブリッドモデル)
第4章 間文化主義の批判と擁護(文化的次元の批判;結論 ほか)
第5章 包摂的なライシテのために(ライシテ体制とは何か;包摂的なライシテの構成要素および措置 ほか)
結論
著者等紹介
ブシャール,ジェラール[ブシャール,ジェラール] [Bouchard,G´erard]
1943年カナダのケベック州の現在のサグネ市生まれ。ケベック大学シクチミ校教授。カナダのマギル大学、モンクトン大学、ゲルフ大学、シェルブルック大学の名誉教授。また2008‐2009年にはハーヴァード大学の客員教授を務めた。国際的に著名な歴史学者・社会学者で、2007‐2008年にケベック州の諮問委員会の共同委員長をチャールズ・テイラーと務めた。『ケベックの生成と新世界』(2000年)でカナダ総督賞受賞、2002年にフランスのレジオン・ドヌール勲章受章など受賞歴多数
仲村愛[ナカムラアイ]
在カナダ日本大使館専門調査員。明治大学大学院教養デザイン研究科博士後期課程単位取得満期退学、政治学修士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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