内容説明
東京・小平のとある女子大学で英語講師をするバーバラ。母とも慕っていた同僚・中本美智子の急逝にショックを受ける。彼女に遺された形見は、小さなたんす。そこにはたくさんの自家製梅酒の瓶と、木彫りのきつねが収められていた。形見の謎と中本先生の思いをたどるうち、バーバラは人々の哀しい過去と、原爆の影を知ることとなる…。かつて津田塾大学で教鞭を執ったアメリカ人作家が描く、戦後日本の風景。
著者等紹介
デーヴィス=ガードナー,アンジェラ[デーヴィスガードナー,アンジェラ] [Davis‐Gardner,Angela]
作家。デューク大学とノースカロライナ州立大学で学業を修めたのち、津田塾大学で教鞭を執る。帰国後、ノースカロライナ州立大学などでクリエイティブ・ライティングを教えつつ、小説やエッセイを発表
岡田郁子[オカダイクコ]
1944年愛知県生まれ、愛知県立旭丘高等学校、津田塾大学英文科卒業。都内私立中学高等学校、英語学校で英語講師を勤めつつ、ミシガン州ホープカレッジで言語学、日本史日本文化を学ぶ。現在、キルビー学院、京王友の会で英語、茶道講師、KCP地球市民日本語学校で日本文化講師、UIA(Urasenke International School)のメンバーとして、毎年北ドイツのテテロウ市の「シュロス・ミツコ」で茶道のプレゼンテーションを行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぱせり
5
原爆、差別、原罪。読者に対しての問題提起と思えばいいのだろうか。主人公はさまざま考えをめぐらすものの本当はどう考えているのか今一つはっきりしないことに、少し苛立つ。戦後二十年の日本のここまで細やかな描写は作者の体験を踏まえてのものなのだろう。文章の間から懐かしい町の気配や暮しの匂いが沁み出てくるようだった。2023/06/15
チェス
1
なんか切ないなぁ。2023/11/20
Judy
0
アメリカ人教師バーバラが同僚の美智から遺品として多くの梅酒瓶を受け取る。梅酒の包み紙に記された手記を清二に手伝ってもらって英語に訳していき、美智の過去を知る。1965年、東京の女子大で教えていた作者の経験が基になっている。日本文化にふれ、被爆者問題やベトナム戦争を盛り込んだ意欲作だ。作者も広島に行かれたのだろうか。バーバラと清二のロマンスは薄っぺらい印象を受けた。2021/06/12