出版社内容情報
アトウッド等、英系カナダ文学の礎を築いた作家・作品を 「ジレンマ」と「ゴシック」から捉え直し、カナダ独自の文学世界に迫る。リチャードソン、ムーディ、オヘイガン、 ロス、アトウッド、アーカート……
英系カナダ文学の礎を築いた作家・作品を 「ジレンマ」と「ゴシック」から捉え直し、
カナダ文学のルーツを探る。
アリス・マンロー、マーガレット・アトウッド、マイケル・オンダーチェ等、
世界文学を担う作家を輩出する現代のカナダ。
しかし、カナダ文学の開化は建国百周年を迎えた1960年代と新しく、
初期の作家たちは、自国の読者が期待できないなかで
書くことの「ジレンマ」を抱えていた。
日加両国の研究状況、「ゴシック」の定義、
宗主国イギリス発祥のゴシック文学の系譜、ゴシック批評の動向も考察する。
?目次内容?
第I部 序論 カナダ文学をめぐるカナダ事情
第一章 カナダ的ジレンマの背景
──カナダ文学の受容と英系カナダ文学をめぐるジレンマ
第二章 ゴシックの系譜
──古典ゴシック小説から英系カナダのゴシックへ
第?部 コロニアル作家の選択──ゴシック小説か移民体験記か
第三章 辺境カナダのゴシック『ワクースタ』
──カナダ人作家、ジョン・リチャードソンの挑戦
第四章 女性移民作家スザンナ・ムーディの軌跡
──伝記的背景と『未開地で苦難に耐えて』受容
第III部 カナダ西部の表象──北西部開拓神話とスモールタウンの形象
第五章 現代カナダ小説の先駆け
──ハワード・オヘイガン『テイ・ジョン』の語りと多声をめぐって
第六章 ハワード・オヘイガンのカナダ的時空
──『テイ・ジョン』から『スクール・マームの木』まで
第七章 シンクレア・ロスの時空とジレンマの構図
──『私と私の家に関しては』から『医師のメモリアル』まで
第IV部 カナダの中心オンタリオ──女性をめぐる「ゴシック」の時空
第八章 ゴシック・パロディ~マーガレット・アトウッド『レディ・オラクル』
──二十世紀中葉のカナダと女性作家
第九章 女性ゴシック~ジェイン・アーカート『ワールプール』
──ゴシック的呪縛「家庭の天使」と「死の混沌」
長尾 知子[ナガオ チカコ]
ながお・ちかこ
大阪樟蔭女子大学学芸学部教授。
【著書】
『英語教育学大系 第11巻 英語授業デザイン──学習空間づくりの教授法と実践』(共著、大修館書店、2010)、『ことばと認知のしくみ』(共著、三省堂、2007)、『高等教育における英語授業の研究──授業実践事例を中心に』(共著、松柏社、2007)、『古典ゴシック小説を読む──ウォルポールからホッグまで』(共著、英宝社、2000)、『英文学点描──森安綾先生退官記念論文集』(共著、書肆季節社、1991)
【訳書】
コーラル・アン・ハウエルズ/エヴァ=マリー・クローラー編『ケンブリッジ版 カナダ文学史』(共訳、彩流社、2016)、マリー・マルヴィ─ロバーツ編『増補改訂版 ゴシック入門』(共訳、英宝社、2012)、マーガレット・アトウッド詩集『ほんとうの物語』(共訳、大阪教育図書、2005)、ハワード・オヘイガン『テイ・ジョン物語』(訳著、大阪教育図書、1996)
内容説明
英系カナダ文学に通底するジレンマとゴシック。隣国アメリカとは似て非なるカナダの文学とは―リチャードソン、ムーディ、オヘイガン、ロス、アトウッド、アーカート…英系カナダ文学の鮮を築いた作家・作品を「ジレンマ」と「ゴシック」から捉え直し、カナダ文学のルーツを探る。
目次
第1部 序論―カナダ文学をめぐるカナダ事情(カナダ的ジレンマの背景―カナダ文学の受容と英系カナダ文学をめぐるジレンマ;ゴシックの系譜―古典ゴシック小説から英系カナダのゴシックへ)
第2部 コロニアル作家の選択―ゴシック小説か移民体験記か(辺境カナダのゴシック『ワクースタ』―カナダ人作家、ジョン・リチャードソンの挑戦;女性移民作家スザンナ・ムーディの軌跡―伝記的背景と『未開地で苦難に耐えて』受容)
第3部 カナダ西部の表象―北西部開拓神話とスモールタウンの形象(現代カナダ小説の先駆け―ハワード・オヘイガン『テイ・ジョン』の語りと多声をめぐって;ハワード・オヘイガンのカナダ的時空―『テイ・ジョン』から『スクール・マームの木』まで;シンクレア・ロスの時空とジレンマの構図―『私と私の家に関しては』から『医師のメモリアル』まで)
第4部 カナダの中心オンタリオ―女性をめぐる「ゴシック」の時空(ゴシック・パロディ~マーガレット・アトウッド『レディ・オラクル』―二十世紀中葉のカナダと女性作家;女性ゴシック~ジェイン・アーカート『ワールプール』―ゴシツク的呪縛「家庭の天使」と「死の混沌」)
著者等紹介
長尾知子[ナガオチカコ]
大阪樟蔭女子大学教授。関西学院大学文学部英文学専攻博士後期課程満期退学。関西学院大学言語コミュニケーション文化研究科修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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