出版社内容情報
英文学における「使用人文学」の系譜
その系譜の始まりを特定するのは困難だが、
18世紀以降での「使用人文学」の代表作・
サミュエル・リチャードソン『パメラ 報いられた美徳』から、
現代文学にもカズオ・イシグロ『日の名残り』や
マーガレット・フォスター『侍女』に
その片鱗をみることができる。
本書はチャールズ・ディケンズ、ブロンテ姉妹、
ダイナ・マロック・クレイク、トマス・ハーディの作品を
取り上げ、英文学のなかで物語られるイギリス社会に
存続する階級制度の歴史や、女性使用人の表象について
吟味する。
西村 美保[ニシムラ ミホ]
著・文・その他
内容説明
階級制度が存続したイギリスで、ときに信頼をはぐくみ、ときに対立した主人と女性使用人たち。その関係性がさまざまに描かれる8つの小説から、女性使用人の表象と彼女らの果たした役割をあぶりだす。乳母、メイド、ガヴァネス…英国文学を支えた彼女たちの物語。
目次
第1章 乳母を通して見るヴィクトリア朝社会―『デイヴィッド・コパフィールド』の乳母ペゴティ
第2章 女性使用人の階級とモラル―『オリヴァ・ツイスト』の雑役女中シャーロットと家政婦ベドウィン夫人
第3章 ガヴァネスの孤立、階級間闘争、交流―『アグネス・グレイ』のアグネス
第4章 家事使用人とガヴァネスの多様な関係性―『ジェイン・エア』
第5章 階級を超えた女性たちの相互扶助と自立―『女主人とメイド』
第6章 カントリーサイドの女主人と女性使用人たち―『遥かに狂乱の群れを離れて』
第7章 女主人を脅かす存在としての侍女―『エセルバータの手』
第8章 農場使用人の表象と因習的な女性観への挑戦―『ダーバヴィル家のテス』
著者等紹介
西村美保[ニシムラミホ]
大阪大学大学院文学研究科英文学専攻博士前期課程修了。福岡教育大学教授を経て、名古屋学院大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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