内容説明
中河与一の代表作の一つ『天の夕顔』のモデルであり、材料の提供者であった不二樹浩三郎が書き下ろした『冷たき地上』は、体験した者のみが書ける生涯を賭けた愛の苦悩の姿そのものである。終戦後、中河との確執のなかで、自ら書き残した未発表原稿を甥の吉田郷の編集で世に問う問題作。
著者等紹介
不二樹浩三郎[フジキコウザブロウ]
明治30年大阪生まれ。同志社大学卒業後、英語教員を2年。テント生活をする。やがて山での生活を考えるようになり、各地を転々とした後、奥飛騨山之村に住み着く。その後東京にもどり、柔道場に通って按摩師となる。その頃中河与一と会い、召集を控えていた不二樹は、自分が書こうと温めていた体験を口述する。『天の夕顔』の材料提供である。戦後、マッサージ師をしながら私家版を発行する
吉田郷[ヨシダキョウ]
昭和6年東京生まれ。早稲田大学仏文科卒。出版社勤務を経て、著述業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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