思想としてのファシズム―「大東亜戦争」と1968

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784779121432
  • NDC分類 311.8
  • Cコード C0010

内容説明

未だ「ファシズム」は牢獄に幽閉されたままである。中野正剛、内田良平、蓮田善明と三島由紀夫、そして赤軍兵士たち…。果たして彼らは本当に冥府へと旅立ったのか。再び彼らを呼び寄せ、語ることによって、いままで見えてこなかった新たな歴史の可能性が見えてくる。

目次

1(中野正剛と東方会―日本ファシズムの源流とファシスト民主主義;内田良平と黒龍会―アジア主義の戦争と革命;世界革命としての八紘一宇―保守と右翼の相克)
2(一九六八年の戦争と可能性―新左翼、アナキズム、ファシズム;連合赤軍の倫理とその時代―「軍」と「戦争」の主張;蓮田善明・三島由紀夫と現在の系譜―戦後日本と保守革命)
3(ロングインタビュー 二一世紀の革命戦争―ファシズム・ホロコースト)

著者等紹介

千坂恭二[チサカキョウジ]
1950年生まれ。高校在学中からアナキズム運動に参加し、「アナキスト革命連合(ARF)」や「大阪浪共闘」で活動。70年代初頭、新左翼論壇において「戦後最年少のイデオローグ」として注目され、『歴史からの黙示』(田畑書店)を著すも、次第に隠遁生活へ行移。約20年間の長期にわたる沈黙を経て、2008年頃から再び雑誌などに精力的に論文を発表しはじめ、左右の単純な図式的区別を越えた思想の政治的な意味や歴史の重層性を追求(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

双海(ふたみ)

32
昨夜から合間を見つけては一気に読んでしましました。某SNSで見かける千坂さんの単著を読んだのは初めて。三島由紀夫、蓮田善明、保田與重郎、吉本隆明、北一輝、中野正剛などを扱っています。現代思想のヘゲモニーはサルトルからレヴィ・ストロースを経てフーコー、デリダ、ドゥルーズその他の至るまでフランスにあった、という「まえがき」からして私は”面白くなるぞ”と期待していました。読了後、期待通りの内容で満足しました。例によってメモがいっぱいで、その処理が大変そう(笑)2015/08/10

seer78

4
ファシズムを絶対悪としてきた戦後日本の迷妄を、戦時体制から辿り直し、固定した善悪の視点を揺るがす、別様の歴史観を打ち出そうとしている。個人的に、最初と最後の論文が示唆に富み、おすすめ。反骨の議会政治家、中野正剛の生涯を追って、別様な戦後民主主義の可能性に思いを致す。赤軍派の主張を論理的に展開し、ファシズムに通底する、別様な資本主義批判の方途を探る。蓮田善明の「戦後」の隠遁の意味をめぐり、別様の「革命」・「維新」・「戦争」を夢見る。巻末のインタビューは著者自ら平明にざっくばらんにその思想を語り、入門に最適。2015/12/18

なっぢ@断捨離実行中

4
「テクノロジーを用い、美や自然、人間にとっての本来的とされたものとの関係を結びなおされる政治、文化思潮」(福田和也)をファシズムと呼ぶならばそれは最終的に暴力革命に行き着く(「軍」の肯定)。初期ロマン派(イロニー)に対する後期ロマン派的思考が本書の底流にあるのは疑いようがないが、イロニーを通過した思想は結局「能動的ニヒリズム」(ニーチェ)にしかなりようがないのではないか。國柱会に傾倒した宮沢賢治や三島とハイデガー、ユンガーなどの戦間期ドイツ思想との関連性を改めて考えてみたくなった。新たな思考に誘う良書。2015/09/29

hir

3
たいへん興味深く楽しめた。Ⅲ、ロングインタビュー 21世紀の革命戦争ーファシズム・ホロコースト(198〜)。2016/03/31

米村こなん

3
難解晦渋な左翼用語や社会科学、文芸批評用語を使わずに、ごく素朴な所感を二点ほど書きたい。(所感一)「太平洋革命戦争」という造語が従来の左翼思想にない新鮮味がある。千坂の、左でも右でもあり、かつ左でも右でもない、という訳の分からない思想的立場を既記の造語は物語っているし、先の大戦を生きた人々の思い入れやリアリティを、よく体現した言葉だ、とおもう。(所感二)戦後に対する注釈を千坂は真摯に自分の言葉で組み上げている。まるで『古事記伝』を書いた宣長みたいだ。戦後思想をその本質に迫って語釈する現代版『古事記伝』とい2016/02/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9756521
  • ご注意事項

最近チェックした商品