内容説明
1978年に刊行された『神聖代』は、荒巻自身が「傑作」と言って憚らない超大作。主人公Kが何者かに導かれるように行き着いた「ボッス星」。一〇〇〇光年の彼方に隠された「ボッス星」の秘密とは…。著者自身の内宇宙の旅路に読者は誘われ、やがて…。アメリカでの英文翻訳も進んでいる大作の原形ともなった「種子よ」も単行本初収録!
著者等紹介
荒巻義雄[アラマキヨシオ]
1933年小樽市生まれ。早稲田大学で心理学、北海学園大学で土木・建築学を修める。日本SFの第一世代の主力作家の一人。戦争シミュレーション小説『紺碧の艦隊』『旭日の艦隊』シリーズはマンガ化、アニメ化もされる空前の大ベストセラーに。現在も札幌で旺盛な作家活動を続けている
巽孝之[タツミタカユキ]
SF評論家、慶應義塾大学教授。高校時代からの荒巻ファンであり、のちに荒巻作品に文学理論上の多大な影響も与える
三浦祐嗣[ミウラユウジ]
SF研究家、元北海道新聞文化部長。イスカーチェリSFクラブ元会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
凛
9
ここまで文字ではなく絵を見ていると感じる文は読んだことがなかった。山尾悠子がよく読んでいたと言っていたので手にとったが、さもありなん。2015/05/27
ぶうたん
3
傑作の誉れ高い長編SF。一種のイニシエーションを描いており、特にラストシーンは永劫回帰を感じさせる感動的なものである。併録の「種子よ」は商業誌二作目とのことだが、本作の場面が散りばめられたエッセンスの固まりで、長編として昇華されているとは言え、こちらも捨てがたい。ボッスがモチーフだが、エッシャーなども出てきて、その辺も著者らしいし、あり得ない風景を文章で視覚に訴えるところもSFならではだろう。解題も処女長編との呼応を指摘していて興味深い。この叢書でも白眉の完成度を誇る必読の傑作であることを再確認した。2015/05/28
Mark.jr
2
カフカの小説から取られたであろうKと名付けられた主人公が、ヒエロニムス・ボスから取られた惑星ボスを目指す。物語を支配する神話・黙示録的雰囲気や、そこかしこに散りばめられたメタファーや引用など、マニエリスムSFの名に相応しい作品です。2021/05/30
かやは
0
このシリーズは「メタSF全集」なんだけど、SFとか幻想小説といったカテゴライズを拒否する、ものすごく個性的な、荒巻先生の作品としか言いようのない濃密な本でした。読後、ネットで「快楽の園」をイメージ検索して「おぉぅ」ってなってる。2015/05/15
WAKI
0
初読は徳間文庫だった。高校生からSFを読み始め,アシモフ・クラーク・ハインラインの時代,筒井・小松・星の時代,ゼラズニー・ディック・ムアコックの時代,タニスリー・マキャフリ・マキリッフのファンタジー系SF時代,神林たちの日本SF第二世代,ホーガンの時代,サイバーパンク,スチームパンク,シモンズの時代,AI系SFの日本の第三世代,イーガンの時代,三体の時代と経験してきたわけだが,それでも『神聖代』は常にall time best(次点は『鼠と竜のゲーム』)であった。おかげで,プラドにボッスまで観に行ったね。2022/07/04
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