内容説明
被爆者の悲しみを静かに訴えかける『黒い雨』…。日本占領下(シンガポール)の庶民の日常を描いた『花の街』…。「庶民」の思想によって「戦争」に対峙した文学者の生き方は、「戦争をする国」が蔓延しだした現代にこそ、多くのことを示唆している。
目次
序 今なぜ井伏鱒二と戦争なのか
第1章 瞋恚を胸に、「書くこと」に徹す―「戦争」への処し方(1)
第2章 『花の街』から『遙拝隊長』へ―「戦争」への処し方(2)
第3章 『徴用中のこと』が孕むもの―「戦争」への処し方(3)
第4章 戦時下の「日常」―「戦争」への処し方(4)
第5章 「庶民=常民」の目線―戦中から戦後へ、その「揺るがぬもの」
第6章 原爆文学としての『黒い雨』
第6章補論 『黒い雨』盗作説を駁す―捏造される文学史
第7章 井伏鱒二と原発―戦後文学史の中で
著者等紹介
黒古一夫[クロコカズオ]
1945(昭和20)年12月群馬県生まれ。法政大学大学院博士課程満期退学。現在、文芸評論家、筑波大学名誉教授、華中師範大学外国語学院大学院特別招聘教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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