内容説明
北斎の娘は父をも凌ぐ天才絵師だった。「美人画ではかなわない」と北斎に言わしめた娘・お栄。江戸時代の実在の絵師ながら、生没年不詳、彼女のものとして残された絵はわずか。謎に包まれた“もう一人の北斎”の生涯をカナダ人女性作家が蘇らせる。
著者等紹介
ゴヴィエ,キャサリン[ゴヴィエ,キャサリン] [Govier,Katherine]
カナダの作家。元ペン・カナダ会長。Canada’s Marian Engel Award for a woman writer(1997)、Toronto Book Award(1992)を受賞。2003年、代表作Creationがニューヨークタイムズ紙ノータブル・ブックの1冊に選ばれた
モーゲンスタン陽子[モーゲンスタンヨウコ]
作家・翻訳家。東京都出身。主に、カナダ、アメリカで執筆活動を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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らむれ
78
彩渦巻く江戸の町、「おーい」と呼ばれるから「応為」とは素敵な洒落。これが翻訳小説!? 仏語西語にも翻訳されてるって!?というのが第一の感想。良訳というのもあるけど、江戸の喜怒哀楽がギュッと詰まってすごく生(ナマ)な江戸の感じが出てる。未だに翻訳だって信じられない(笑)情景描写が多くてちょっとごちゃまぜの原色風景画みたいな印象。お栄の直接の心理描写がないからたまに置いてけぼりに。短文が多くて、散文的なところがあるのが海外物っぽくてちょっと好き。江戸訛りがほんまに読みにくいけど(どんまい関西人)下巻へ。2015/09/03
りつこ
35
日本翻訳大賞の推薦文を見て手に取った本。苦手なテーマと思っていたけど面白い!ワクワクしながら下巻へ。2015/02/20
ドナルド@灯れ松明の火
27
カナダ人が良く調べたと思う。しかし調べたことを全部書いてみましたという感じがプンプンして、努力したであろうが訳者の和訳の言い回しと相俟って違和感があった。特に吉原の記述は外国人から見れば興味があるだろうがお栄がそこで感じたこととして描くことは必要か疑問。また処女お栄の最初の相手が式亭三馬というのも疑問符が残る。上巻は読みづらかったが後半和訳がこなれてきて何とか読み切った。下巻はお栄の作品に迫って欲しい。2017/03/21
松風
27
外国人による江戸。身体論などやや高尚で詩情(エキゾチズム)に富みすぎた言葉選びが翻訳小説ならではという感じだが、なまはんかな時代小説より引き込まれる。2014/10/05
onasu
25
カナダの女性作家の描く葛飾北斎と応為。巻頭の多彩な人物紹介からは、本編への期待が高まったのですが…。 登場したと言えるのが、北斎と応為の他は、遊女志乃と式亭三馬くらい。下巻では、どうなんだか。 細かい章建ても、作家特有なのか、カナダの流儀なのか、何れにしても、どうにも慌ただしい。 それと、北斎はかなり高齢になっているが、引越し魔と言われた片鱗が窺えないし、肝心な浮世絵の描写も全く物足りない。 この調子なら、下巻はなくてもいいくらいだ。2014/09/12