内容説明
スペイント語圏ラテンアメリカ短編文学のはじまりともいえる重要作品「屠場」をはじめ、幻想的な「ルビー」「赤いベレー」「新しい島々」、大地の渇きが伝わる「インディオの裁き」「その女」など、ロマンチシズムからモデルニズモ、クリオーリョ主義、実存主義までの多彩な傑作短編を、文学の発展過程を見通せるように編纂。本邦初紹介作品を含む、心を打つ名作18編。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maja
13
最初のラテンアメリカの短編のひとつ、エステバン・エチェベリーア「屠場」1838年から始まる時代の名作を並べて解説とともにラテンアメリカ文学史を辿れるように取り計られた作品集。重く圧迫を感じる雰囲気が残る。政権転覆、混乱状態のなか逼迫するある男の一夜を描いたリノ・ノバス・カルボ「ラモン・イェンディアの夜」1933年。妻を亡くした男に新たな出会い。一巡する心模様を描いたマリア・ルイサ・ボンバル「新しい島々」1938年が印象深かった。2023/05/07
スターライト
10
ペルッツの『第三の魔弾』を読んだからというわけでもないが、気になっていた本なので読んでみた。サブタイトルにあるように、中南米で書かれたスペイン語の短篇を発表年代順に並べ、作風の流れがわかるようになっている。いずれも外国の侵略や内戦、経済的に貧困で前近代的な社会が色濃く反映し、読後の気分は思い。しかしこれらが中南米の人々が味わった苦難であり、それを受け止めねば理解は進まないだろう。巻末の解説は、文学史の流れをコンパクトにまとめ、作品の読解を助けるものになっていて好感が持てる。中南米文学好きにはオススメ。2015/11/16
アドソ
6
完読に4か月、正直なところ少し辛い読書だった。いわゆるブーム作家の直前くらいの人たちなのかな。知ってる人が1人もいない・・・かと思えばさりげなくルベン・ダリオやオラシオ・キローガが挟まっていたり・・・。あまり記憶に残らなかったがしいて挙げれば「持ち主のない時計」「ラモン・イェンディアの夜」「カバジェーロ・チャールス」くらいか。「赤いベレー」には途中まで期待したけれど。おしなべて訳が少々かたいようにも思ったが、原語のニュアンスがそういう感じなのかもしれない。2014/10/06