内容説明
アイルランド人作家、ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』。ダブリンの一日を描いたこの小説の読書会に十数年参加する著者による「ジョイス詣で」の旅。「文学」を訪ねる旅の面白さを伝える紀行エッセイ。
目次
第1部 ダブリン(日本からダブリンへ;空飛ぶ船の乗客;空港から市内へ ほか)
第2部 ロンドン(パディントンと言えば;閑話休題;ポートベロの骨董市 ほか)
第3部 カーライルの家(ロンドンを地下鉄で歩く;漱石のロンドン;懐かしきイギリスのロースト・ビーフ! ほか)
著者等紹介
中尾真理[ナカオマリ]
奈良女子大学大学院文学研究科修士課程修了。英文学専攻。現在、奈良大学教養部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
燃えつきた棒
25
なんとも祝祭感あふれる英文学紀行だ。 今回の目的地はダブリンとロンドン。 さて、どうなることやら。/ 【ホテルを九時に出発、オコンネル・ストリートを南に歩き、オコンネル橋でリッフィー川を渡る。右にアイルランド銀行が見えたところで、トリニティ大学の前に出る。そうすれば、あとはじきにピアース駅に着くはずだった。十時の待ち合わせ時間までには一時間あるので、ゆっくり歩いても、楽にたどり着けるだろうと思われた。 ─中略─ (テテン、テン、テン、テン、テン、一天にわかにかき曇り!※引用者効果音)2025/05/30
きりぱい
6
面白かった。飛行機の乗り継ぎに始まり、文学紀行にそこはいるのか?という旅自体の細かい感慨が親しみやすく、普通に旅のエッセイと見ても面白いのに、そこに英文学がプラスされてなお面白いという。悲劇の英雄パーネルだとか、知ると知らないでは読んだ時の奥行きも変わっただろう知識もいいけれど、ジョイスが歩き、書いたところを巡る、ジョイシアン(と言うらしい)ならではの楽しさが伝わってくるのもいい。トリニティカレッジのロングルームのくだりがいいなあ。ダブリンよりロンドン旅のページの方が多かったり。またそこも魅力的。 2015/01/16