内容説明
帝政ロシアの結婚式といえば、貴族の華やかな舞踏会が思い浮かぶ。しかしロシア農村の結婚式は、花嫁が結婚を嫌がって泣き崩れる悲哀に満ちたものだった。帝政時代のロシア人の結婚儀礼は、階層によってなぜ大きく違ったのか。農村の花嫁はなぜ泣いたのか。そしてソ連時代以降、農村社会の生活と儀礼はどのように変化していったのか。本書は十九世紀末から二〇世紀にかけての農村ロシア人の結婚儀礼を、民族学、フォークロア学、文化人類学の方法論で解読する。結婚儀礼の地域差や階層差の由来、儀礼に関わる人々の役割の意味、「呪われた娘」や人狼など、結婚に関わる怪談と儀礼の関係、そしてソ連時代の「儀礼政策」が結婚儀礼に与えた影響について論じる好著。
目次
序章 ロシア農村結婚儀礼研究の意義
第1章 ロシア人の結婚儀礼概観
第2章 帝政時代のロシア農民と家族
第3章 帝政末期のロシア農村の結婚儀礼
第4章 帝政末期のロシア農村における結婚儀礼参加者の役割
第5章 結婚にまつわる怪談―「呪われた娘」と「人狼」との相関性
第6章 ロシア革命以降の結婚儀礼―国家と個人
著者等紹介
伊賀上菜穂[イガウエナホ]
中央大学総合政策学部准教授。1988年愛媛県立松山南高校卒業。1992年上智大学外国語学部ロシア語学科卒業。1994年大阪大学大学院言語文化研究科博士前期課程修了。2001年同博士後期課程修了。東北大学東北アジア研究センター講師(研究機関研究員)(2001~2002年)、大阪大学大学院言語文化研究科助手(2002~2005年)、大阪大学、大阪外国語大学非常勤講師(2005年~2009年)を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。