内容説明
メディアとしての絵葉書から、鮮明に写し撮られた都市の風景や風俗など、大正時代の記憶を生き生きと伝える。「大正の記憶 絵葉書の時代」展の貴重な展示資料をもとに278点の美しい図版、絵葉書から大正時代の諸様相を読み解く新しい「大正時代史」。
目次
第1章 明治の終わり、大正のはじまり(明治天皇の崩御;明治に殉じた乃木希典;大正天皇の即位―新たな皇室像の形成)
第2章 写された大正(三島弥彦とストックホルムオリンピック;第一次世界大戦と日本;帝国の拡大―世界大戦と日本領土 ほか)
第3章 大正から昭和へ(昭和天皇即位―“明治の再来”という期待;絵葉書に見る震災復興)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春が来た
10
大正時代に触れた作品を読んだので、こちらの本も開いてみた。大正時代。大正ロマンと呼ばれ平穏な時代だったのかと錯誤してしまうが(私だけかもしれない)その背景には第一次世界大戦や大震災があった。大正ロマンを感じさせるような絵葉書は本書にはなく、この時代そのものの姿。当時の絵葉書は現在のSNSのような存在。震災後の遺体、ドイツ軍捕虜を見物に来きた人々と生々しく写し出されている。海外からの絵葉書にはエッフェル塔も。エッフェル塔ってこの時代にあったんだ!絵葉書と共に分かりやすい解説があり歴史が苦手な私もそれなりに。2023/11/26
めぐみこ
5
大正時代の絵葉書は、大きな出来事を視覚的に報道する最先端メディアだった、という歴史にびっくり。私にとっては観光地や美術展で売られてるイメージだから、だいぶ違う。東京の様子が中心なので、関東大震災や空襲で失われた街の光景を沢山目にすることができた。東京駅の周辺に森があったなんて思わなかった。2020/04/20
果てなき冒険たまこ
0
江戸時代の浮世絵から派生した報道錦絵に代わりメディアの役割を担ったのは絵葉書。大正時代に絞ってるから明治末期と第一次大戦後の好景気、そして期待の昭和天皇へと実にわかりやすい。わずか100年で日本の文化はずいぶん変わってしまったもんだ。衝撃的だったのは関東大震災の絵葉書、あまりにもストレートで驚く。今の規制だらけのマスコミにはとても表現できないだろうな。錦絵の終焉も震災がきっかけだったとは。2022/06/06
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