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内容説明
サラゴサからバルセロナへと偽者が本物のドン・キホーテの旅程を変えてしまう破天荒な物語。贋作と本物とが交錯するパロディとしての騎士道物語。
著者等紹介
岩根圀和[イワネクニカズ]
1945年、兵庫県生まれ。神戸市外国語大学修士課程修了。神奈川大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
90
一度故郷に戻り、再び旅に出たドン・キホーテ。彼の狂態を嘆き、連れ戻そうとする学士の苦労が痛ましくもありますが、どうも愚かに見えてしまいます。妄想に取り憑かれ、伝説の騎士と思い込み、周りを巻き込んでいくドン・キホーテの姿は、どんどんエスカレートしていく行動のように思えました。最後は病に倒れますが、思う存分騎士としての気分を味わう幸せな時間を過ごせたと思います。コントのようにも見える妙な掛け合いなどが面白く、大作ながらも一気に読んでしまいました。2016/04/28
セウテス
50
南米にまで植民地を広げていた帝国スペインは、レパントの海戦でキリスト教の大義を掲げ、オスマントルコを撃ち破った。スペインは太陽が沈まない国と呼ばれ、セルバンテスも戦いに貢献した事で大きな自信を得た。しかしその後、イギリスに無敵艦隊が敗れるに至って、帝国の衰退を見続ける事になる。一つの真理を信じて進んできたルネッサンスが終り、無数の考え方がある複合の真理の近代への移行を、このドン・キホーテは示しているのではないか。複数の羽の風車に一本の槍でむかい、彼が弾き跳ばされる姿は新時代の到来を意味するのだろうと思う。2015/07/11
NAO
24
一度故郷に戻ったものの、また旅に出ることにしたドン・キホーテ。彼の狂態を嘆き、何とかして連れ戻そうとする学士の苦闘ぶりは痛ましくもおかしい。この後編では、贋作の「ドン・キホーテ物語」が世に出回っていることを知って、ドン・キホーテが憤慨する場面があるが、セルバンテスがこの後編を書いたのは、最終的にドン・キホーテの死亡を描くことで、これ以上の贋作が出ないようにするためだったという。人気のあるものにはすぐ海賊版ができるのは、いつの世でも同じだったようだ。個人的には、サンチョ・パンサの島での統治ぶりが好きだった。2015/08/03
fseigojp
16
やはり滑稽文学はむづかしい 2019/03/11
トマス
2
幻を信じてやまない2人の長旅に辟易することもあったが、完結まで見届けるとやっぱり寂しくなる。騎士道物語をパロディ化して解体するに留まらず、先に書かれた贋の後編を引き込むメタ性の高さに驚かされる。2022/04/16
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