内容説明
同性愛者として知られ、フランス象徴派詩人のマドンナともいうべきルネ・ヴィヴィアン(1877‐1909)の遺稿詩集本邦初訳。「ボードレールの娘」「19世紀のサッフォー」の異名を持ち、32歳で夭折した「菫の詩女神(ミューズ)」の死と孤独を見つめた格調高く、耽美的な世界。
目次
菫の加護のもとに
恋
霊感
マリアの七つの百合
わが楽園
追憶
月への祈り
妖精たちの約束
存在
よみがえり〔ほか〕
著者等紹介
中島淑恵[ナカジマトシエ]
東京外国語大学卒業、東京外国語大学大学院修士課程修了、東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。専攻はフランス近代文学。現在、富山大学人文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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柊渚
25
私は貴女を憎み、そして愛する。熱狂と狂おしい苦悶をともない、吐露される詩人の恋情。数多くの恋人達に愛を囁きながらも、すみれの花の名を冠した、ただひとりの女性へは届くことはなかった。つぎに目覚めるときは、貴女の声で。貴女の傍がいい。同性愛者であり、「ボードレールの娘」「19世紀のサッフォー」とも呼ばれるルネ・ヴィヴィアンの切なく狂おしい旋律に満ちた美しい詩集。2022/04/23
きゅー
11
32歳の若さで没したルネ・ヴィヴィアンの死後に刊行された詩集。生きることへの倦み、救われない心の悩みといった情感的な詩が収録されている。タイトルにもある菫の花の意味とは、幼なじみのヴィオレット(菫)・シリトーにちなんでいる。夭折したヴィオレットへの友情(あるいは愛情)から、晩年のルネは自らの邸宅を菫の花で満たしたという。詩の中心にあるのは彼女の感性、感覚であって普遍性は感じられない。しかし、彼女の心が嵐のさなかにあって、寄る辺を求めてさまよっている姿を見るのは痛々しくも、残酷な美しさに満ちている。2015/10/19
はちみつぐすり
0
「とるに足らぬ恋」が好き。”それゆえに私は貴女を憎み、それゆえに私は貴女を恐れる…。私は他の恋、他の瞳、他の手を求めてみるの。”どうしようもなく絡めとられていく幸せな息苦しさ。「愛すべき敵に」に描かれる”貴女”も抗いがたく。2011/10/30
Kaoru
0
素敵だけど、日本語にのリズムがつっかえていたところも。原文でも読んでみたい。2023/09/02