内容説明
「あの世」はどこにあるのか。「この世」と行き来できる他界や、美しい山の向こうに広がる他界。「この世」とは異なる世界と認識されながら、漠然として曖昧な日本人の他界観。『古事記』、『日本書紀』、『万葉集』から中世の文字資料、「来迎図」といった絵画資料、現代における民俗行事の観察などから、日本人の他界観形成の特性を考察する。
目次
第1章 日本古来の他界観(他界観の探究に向けて;記紀神話における他界;『万葉集』における他界)
第2章 『日本霊異記』における他界観(冥界の景観;「黄泉」としての冥界;この世と冥界との往来)
第3章 日本的浄土の風景―来迎図の世界(折口信夫に寄せて;「浄土三部経」における浄土の風景;『往生要集』における浄土の風景;王朝人の浄土;欣求浄土の前提としての無常観;死者と紅葉;来迎図の山水;山越阿弥陀図の山水;山越阿弥陀図における浄土)
第4章 京都の盆行事に見る他界観―六道まいりと大文字五山送り火(六道まいりの現状)
著者等紹介
大東俊一[ダイトウシュンイチ]
1954年生まれ。東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒、東京外国語大学大学院地域研究研究科地域研究専攻修士課程修了。法政大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程満期退学。現在、人間総合科学大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Go Extreme
2
日本古来の他界観: 多様・古代人の神話や信仰に根ざす 時代とともに変遷・明確な一つの概念なし 主要な種類: 黄泉国ー死者が赴く場所・腐乱や喪のイメージ 具体的な死後の生活の場 根之堅州国ー再生や数饒の契機 再生する過程 常世国ー不老不死の理想郷 現世的な生活の延長 形成要素: 4要素=遠方・近接・具象性・具象性の欠如 変遷: 神話や文学で多様に表現 死後の生活を具象化した具体的なイメージに基づく 文化的影響: 仏教の影響+古来の信仰と融合 「日本霊異記」ー死後の世界や因果応報の概念2025/01/27