出版社内容情報
すぐれた文藝作品の「初訳」がいかに苦労と不安と、そして愉悦と栄光に満ちたものかは、誰もがみんな知っている!言語は本来多義的なもの。しかし翻訳はそれを一義に解釈し通読可能な訳文へと繋いでいかなければならない。その意味でも《翻訳行為》はひとつの《批評行為》なのだ!本書は極めて根源的な翻訳/批評論である。
内容説明
アメリカ文学に戦争小説の傑作が多いのは、アメリカが戦争をたくさんしてきたから、そしていつもしているからということのほかに、アメリカ社会が戦争や軍隊をなぞって「経営」されているという事実がある。戦争、戦争、戦争…それは大統領選に、金融危機に置き換えられようとしている。世界中のテレビの前でニュースに見入っている人たちにも筋がわかるドミノ倒しの連鎖ドラマ。二十一世紀、北米は「戦争」から自由になれるのか。アメリカ文学に常に既に潜在する「戦争」を「翻訳」する。
目次
1 戦争するアメリカ(NATOの文学怪物はピンチョンの虹―環状の黙示録;9・11/夢見る国のナイトメア―ピンチョンとカーヴァーの双曲線そして/あるいは虹の彼方へ;パシフィック戦争の記録―メイラー『裸者と死者』 ほか)
2 アメリカという身体(怪異・寓意・ロマンス―ゴシックの水脈/アレゴリーとホーソーン/メルヴィル通底器;深南部の口唇―フォークナー『響きと怒り』断想;奴隷制と双子のモダニズム―フォークナーとトウェインと名前と ほか)
3 翻訳から文体へ(それは文学者の仕事―鑑賞に耐える翻訳;翻訳のグロテスク―古井由吉の文体;乾いた文体―西脇順三郎と福原麟太郎 ほか)
著者等紹介
千石英世[センゴクヒデヨ]
1949年大阪生まれ。アメリカ文学者、文芸評論家、立教大学文学部教授。1983年「ファルスの複層―小島信夫論」で群像新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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