出版社内容情報
カナダを代表するストーリーテラー、マーガレット・アトウッドを味わいつくすために、必読のパーフェクトガイドブック!
カナダ国内はもとより国際的に高い評価を得ているアトウッド(1939-)。
2000年にブッカー賞を受賞し、日本でも多くの作品が翻訳され、魅力的なストーリーテリングで読者を惹きつけている。
彼女の物語は、一見シンプルなスタイルをとっているが、膨大な古典の知識をもとに、選びぬかれた言葉と多層的意味を含む複雑な構造となっており、謎解きが散りばめられている。
長編全作品・短編・批評・詩の解説、インタビュー、作家経歴、キーコンセプトの数々から、その魔術的物語の全貌を検証する。
日本の読者の皆様へ
I アトウッド・ワールドのサーチライト
解釈空間におけるアトウッド~解体/再構築
脱中心の奇妙な物語~カナダという文脈
物語も人間も複数で
サークルを破ってウィルダネス(荒野)へ!
包み紙を捨てよう
変身のシナリオ~おとぎ話と継母
サバイバル~生みつづけること
新しい自伝~ポストコロニアリズムとフェミニズム
作家を取り巻く環境~トロント大学とノースロップ・フライ
一面だけの現実~リアリズムの問題
毒/薬の作り方と利用法
契約はキャンセルにして~ジャンル
パロディ~パリンプセスト
発話行為~視点の問題
脱皮する蛇のように~メタフィクション
気がつけば同居人(吸血鬼)
敵は内部にあり~越境者であること
カナダのレンズを通した辺境のゴシック
語りつづけるシェへラザード
絞首刑執行人(ハングマン)と結婚しよう!
声を聴くこと
自分との不一致~過去の解釈から立ち上る「わたし」
触れるという魔術~感情の領域
犠牲者の物語はエコシステムのなか~死につつあるウィルダネス
共同体と自我の消失点
過去との交渉
II インタビュー
インタビュー1 作品と現実との接点 [聞き手]本書執筆者一同
インタビュー2 未来へのまなざし [聞き手]本書執筆者一同
インタビュー3 ライフ・アフター・マン……SFと科学 [聞き手]エリナ・ケイス/マギー・マクドナルド
III 作家経歴
IV アトウッドを読むためのキーコンセプト
I パワー・ポリティクス
パワー・ポリティクス(力の政治学)/サークル・ゲーム
ダブル(ツウィン/二重人格/双子)/カニバリズム
身体/暴力/いじめ/トラウマ(心的損傷)
ラプンツェル症候群/母と娘/コスチューム
II 「語り」のアート&フレイム
「語り」/「物語」/神話・おとぎ話 /記憶/自伝/歴史
パリンプセスト/メタフィクション/キルト/ゴシック・ロマンス/鏡
III 背景・思想
カナダ/ポストコロニアリズム(ポスト植民地主義)/フェミニズム
サバイバル/ニュー・サイエンス/文明批判/自然/ウィルダネス(荒野)
ウェンディゴ(人食い巨人)/シャーマニズム/ポストモダニズム
V-1 アトウッドの作品を読む
『食べられる女』~「拒食」という名の自己表現
『浮かびあがる』~〈はだか〉になった巫女
『レディ・オラクル』~〈アンチ・ゴシック〉という名のパロディ
『ライフ・ビフォア・マン』~遠い場の記憶
『ボディリー・ハーム』~記憶の呪縛から脱出するラプンツェル
『侍女の物語』~「わたしだけの部屋」のハンドメイド
映画『侍女の物語』~昼の世界/夜の待合室
『キャッツ・アイ』~記憶の中のブラックホール
『寝盗る女』~未来へひらく解体新書
『またの名をグレイス』~深紅のシャクヤクが語る歴史物語
『昏き目の暗殺者』~螺旋状に立ち昇る「物語」の力
『オリックスとクレイク』~新人類からの問いかけ
『ぺネロピアド』~なぜ女中たちはつるし首にされたのか
V-2 アトウッドの作品を読む
【短編(ショート・フィクション)集】
『ダンシング・ガールズ』~「異なるもの」とどう向き合うか
『青ひげの卵』~「語り」の実験室
『闇の殺人ゲーム』~テクストの殺人
『ウィルダネス・ティップス』~現代カナダの人間模様
『モラルの混乱』~20世紀の家族のアルバム
【アトウッドの詩について】
【ノンフィクション】
『サバィバル――現代カナダ文学入門』
『奇妙なこと――カナダ文学における悪意にみちた北部』
『死者と対話して――書くということに関する作家の一家言』
『第二の言葉』および『動く標的』
▼コラム▼
アトウッド・ペイパーズ/アトウッドの絵と本/
オペラ『侍女の物語』の夕べ/トリックスターとは?
アトウッドの童話/アトウッドと生物学史家ダナ・ハラウェイ
▼ビブリオグラフィ▼
「書くということは、ごく普通のいとなみです――
ひとはいつも自分の人生の物語を、語りつづけているのです
そして書くということは、魔術でもあります――
たった今、あなたにこうして話しているのは、
遠いところにいるわたし、なのですから……」
(マーガレット・アトウッド)
■アトウッドが描いたイラスト、カラー口絵付。
内容説明
カナダ国内はもとより国際的に高い評価を得ているアトウッド(1939~)。2000年にブッカー賞を受賞し、日本でも多くの作品が翻訳され、魅力的なストーリーテリングで読者を惹きつけている。彼女の物語は、一見シンプルなスタイルをとっているが、膨大な古典の知識をもとに、選びぬかれた言葉と多層的意味を含む複雑な構造となっており、謎解きが散りばめられている。長編全作品・短編・批評・詩の解説、インタビュー、作家経歴、キーコンセプトの数々から、その魔術的物語の全貌を検証。アトウッドを味わいつくすために必読のパーフェクトガイドブック。
目次
1 アトウッド・ワールドのサーチライト(解釈空間におけるアトウッド―解体/再構築;脱中心の奇妙な物語―カナダという文脈 ほか)
2 インタビュー(マーガレット・アトウッドにインタビューして;インタビュー1 作品と現実との接点 ほか)
3 作家経歴(グラマー&ファッション・ページ)
4 アトウッドを読むためのキーコンセプト(パワー・ポリティクス;「語り」のアート&フレイム ほか)
5‐1 アトウッドの作品を読む(『食べられる女』―「拒食」という名の自己表現;『浮かびあがる』―“はだか”になった巫女 ほか)
5‐2 アトウッドの作品を読む(短編(ショート・フィクション)集
アトウッドの詩について ほか)
著者等紹介
伊藤節[イトウセツ]
津田塾大学大学院博士課程満期退学。現在、東京家政大学教養部教授
岡村直美[オカムラナオミ]
津田塾大学大学院修士課程修了。現在、和洋女子大学人文学群言語・文学系教授
窪田憲子[クボタノリコ]
津田塾大学大学院博士課程満期退学。現在、都留文科大学文学部教授
鷲見八重子[スミヤエコ]
津田塾大学大学院修士課程修了。現在、和洋女子大学人文学群言語・文学系教授
宮澤邦子[ミヤザワクニコ]
東京都立大学大学院修士課程修了。元常磐大学人間科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。