出版社内容情報
「外国文学を旅する会」を結成した著者は、多くの有名な作品を読み、作品から多大のものを吸収する一方で、対照作品に新たな意味を発見し読書の楽しさがいっそう増大するのを感じていった。本書は、それぞれの作品について、著者なりの読みによって変化・進化させ、確固としたものにしていった具体例を集めたものです。
目次
ロッテの闇―ゲーテ『若きのウェルテルの悩み』
壊れた幻想―エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」
幼女をめぐるドラマ―ナサニエル・ホーソーン『緋文字』
小悪恐るべし―ジョージ・エリオット『サイラス・マーナー』
民衆の父母誕生す―ドストエーフスキイ『罪と罰』
新たなる黙示録―ドストエーフスキイ『悪霊』
孤立した家庭がもたらすもの―ジュウル・ルナアル『にんじん』
真の闇はいずこに―ジョーゼフ・コンラッド『闇の奥』
いつわりの悲劇―ゴールズワージー『林檎の樹』
破綻した恋愛小説―アンドレ・ジイド『田園交響楽』
浅はかな夢―フィッツジェラルド「冬の夢」
裁判沙汰になじまない主人公―フランツ・カフカ『審判』
空しい儀式―ヘミングウェイ『日はまた昇る』
著者等紹介
岡田量一[オカダリョウイチ]
1934年、東京に生まれる。東京大学卒業。都立商科短大を経て、1984年新潟大学教育学部教授。2000年定年退職。米国文学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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viola
2
まず、何をしたいのかが分からない。論文とエッセイの中心で、中途半端。その作品を読んでないとまったく意味が分からない。 まとめると、単にケチをつけているだけなんですよねぇ・・・・名作へようこそ、って何も勧めていないと思うのだけれど。 ここまで解釈が合わないのも珍しい。あまりにも登場人物を過信しており、「小説」なのだということを忘れてしまっているようです。2010/01/17
ツカモトカネユキ
1
2008年刊行。13の名作を作者視線からぶった切っていきます。未読でネタバレ上等な人には、よい内容です。また、既読の人には、解釈の違い、気付かなかった部分を教えてくれると思います。しかし、これから読むのを楽しむ人には敬遠される内容です。カタカナ読みが独特感であり、少し違和感を感じますが、その分、作者のこだわりの強さを感じます。海外作品なので、訳者の癖や時代も大いに影響しているものと感じます。前作「買い被られた名作」との被りは、ないので同じテイストでほかの作品の読書論を親しむのもよいと思いました。2022/02/21
ゆってぃー
0
若きウェルテルを読んだ後で読みました。解説のような内容。本作から私が感じたことと同じようなことが書かれていて納得。自殺をしたウェルテルに一番近い存在であったロッテ、またお母様の苦しみを想わずにはいられない。2019/12/02