出版社内容情報
18世紀のヨーロッパ“変革”の時代を背景に展開されたポーランドの政治文化の出発点に当たる、四年議会で採択された憲法と国政改革の特徴と意義を史的に分析、検証する。
内容説明
1788年10月に開会し、1790年10月に新代議員をくわえて延長された連盟議会(いわゆる四年議会)で1791年5月に採択された憲法は、西欧の近代市民社会の原型となる要素と、近世を通じてポーランド人に定着した独特の共和政理念の継承という要素とを併せもっていた。この憲法体制はわずか一年余りの短命であったが、四年議会の政治的諸改革は、その後のポーランドの政治文化を規定する上でも、欠くことのできない出発点になった。またその憲法理念は、国家消滅後のポーランドに大きな刻印となり、西欧諸国に典型的な、国家による上からの形成物とは異なる、共和政的伝統を基盤にした下からのナショナリズムの形成に繋がり、近代のポーランド民族精神に賛否両面から語り継がれていくことになる。本書は、この国政改革の特徴と意義、様々な見解の相違の背景を通して史的に分析、検証する。
目次
第1章 四年議会はどのように捉えられてきたか―その研究史の展望
第2章 一六世紀から一八世紀前半までのポーランド共和国―シュラフタ共和政の国制、ならびにマグナート寡頭政期におけるその変質
第3章 ザクセン朝時代における改革案
第4章 四年議会に至るまでの国王スタニスワフ・アウグスト―その国制観の変遷
第5章 フーゴ・コウォンタイの国家改革論―四年議会初期における共和国理念の継承と発展
第6章 四年議会前半期(一七八八年一〇月‐一七九〇年一二月)における国制改革
第7章 一七九一年における議事の展開―五月三日憲法制定とその反応を中心に
終章 四年議会改革の歴史的位置づけ
著者等紹介
白木太一[シラキタイチ]
1959年、東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学大学院文学研究科(博士課程)修了。文学博士(早稲田大学)。ワルシャワ大学歴史研究所留学。現在:東京大学教養学部、東京外国語大学外国語学部、早稲田大学文学部、放送大学、東洋大学文学部、杏林大学外国語学部、早稲田実業高校、大学書林語学アカデミー非常勤講師。早稲田大学文明史研究所客員研究員
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