内容説明
昭和2年、日本を未曾有の金融恐慌が襲い、勤務先が倒産した江崎洋一は活路を求めて単身満州に渡った。大陸の底知れぬパワーに魅了され、洋一は夢中になって満鉄調査部での仕事に打ち込んでいた。ようやく家族を迎える準備が整ったと思ったその時、悲報が飛び込んできた―。満州で家族が辿った道は、日本人の歴史の一つとして知らなければならない。苦難のなか親から子へと受け継がれていく、逞しく生きる力を描く感動歴史長編。
著者等紹介
小林克巳[コバヤシカツミ]
医師。次兄、次姉が渡満し、昭和21年帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちゃんみー
45
昭和初期、金融恐慌のあおりを受けた洋一は新天地を求め満州へ渡る。そこからこの物語は始まります。説明的な部分が半分程ありますが、洋一やその娘である芙美子が戦争期とその後のソ連への強制連行時期に生き抜こうとした家族の様子が描かれています。最後はとても悲しい芙美子の詩でこの物語は終わっています。母親を失って当時満州にいた父の元へ14歳で行ってからの芙美子の壮絶な半生から、戦争の愚かさに憤慨し、混乱期には家族と平穏に生きられなかった人々の悲しみに触れ、今の時代に生きられていることに感謝をいたします。2014/09/14
ノメ
0
満州に活路を見出そうとしたある家族の主人公とその娘。時代に翻弄されながら日本の敗戦により国家という後ろ盾がなくった悲哀が綴られる。満州国について丁寧に描写しているので満州国を理解するにはよい本。2015/01/22