内容説明
毎朝同じ電車の同じ車両に乗る会社員の澄人、合格確実だった中学に落ちてしまった敦俊、トラブルメーカーのホームヘルパー範子、カメラマンの娘を事故で亡くした元学芸員の優作、そして9歳の時の両親の離婚が傷になり結婚に踏み切れない梓。見知らぬ人の思いが巡り巡って、硬く閉ざされた心の扉を小さく叩いたとき、彼らにもたらされたものは…。
著者等紹介
中條てい[チュウジョウテイ]
1956年生まれ。南山大学文学部仏語学仏文学科卒業。2012年齋藤緑雨文化賞長編小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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むぎじる
24
相身互い・・・広い視野での助け合い。そして、知らない間に助け助けられていること。この想いがつまった連作短編集。会話は交わしたことがないけれど、同じ電車に乗り合わせる年配の男性を、文庫本を落として起こしてあげた澄人。ホームを見ると、その男性がこちらに向かって手刀をきってお礼をしていた。この微笑ましい「定刻の王」が、この男性にとって人生の中で貴重な1日となった「夏の終わり」につながったとき、よかったという想いに涙してしまった。自分とつながっているかもしれない人や物に感謝したくなる、心ふるえる小説。2013/05/22
しおり
23
映画から原作を知りました。映画の内容とリンクしてるけど同じではないです。短編のどれも感情を丁寧に描いてます。良い面だけでなく悲しみや醜さをも。色んな感情を消化して前を向く主人公達がとても良かったです。短編の登場人物が繋がっていたのも楽しかったです。この一冊を土台に作られた映画の方はスゴイ考えられてるし、感動でしたよ!。2024/11/29
よしりん
15
初めましての作家さん。5編の連作短編集。正直1つめ読みながら‘あんまり好きな感じじゃなかったかも’って思ったけど2つめ、3つめと進むうちどっぷりハマった。『夏の終わり』が特によかった。『アイミタガイ』素敵なタイトル(^-^)2017/09/12
みさどん
13
とってもいい連作話だった。もっとこの作者さんは注目されていい。亡くなった女性カメラマンの、施設での写真撮影話には涙がドバッと。最初の、電車の中での眠った人を起こしてあげる話と結びついて、思わず声が出たくらい。受験で落ちた子どもの、周りや親の気持ちの機微とか、細やかでたまらない。他の話も読みたい。映画もいい話になりそうだ。好きな本棚2024/12/13
きらら@SR道東民
6
映画を観てとても良かったので、原作を手に取りました。連作のような短編集を、内容を上手く変えてとても素敵な映画になっていました。短編集で、それぞれの主人公の心情がていねいに描かれていて、映像と重なり、心に沁みました。2025/06/04
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